それはキミでした
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「レオナさんとこのお手伝いさんになればいいのに。」
「絶対嫌ッス!!」
大企業なんて辞めて、今と殆ど変わらない環境で仕方ないッスね〜と呆れた顔でレオナさんの世話を焼く方がよっぽど彼に似合っている。きっとお給料も弾んでくれるだろう。あのお金に無頓着なライオンなら。あぁ、でも、きっと国に帰ったらお給料を払うのはレオナさんではなくなってしまうのか。彼も大概、因果な星の下に生まれてしまった子だった。
「あたしは結構好きだけどね。」
そう告げると、彼は物好きだと笑った。違うのに。あたしが好きなのはレオナさんの世話を焼く事ではなくて、レオナさんの世話を焼くラギーくんの手伝いをするのが好きなのだ。そうそう手伝いを頼まれる事はないのだけど。
「だってほら、ご褒美貰えるし。」
「え、レオナさんから何貰ってるんスか!?」
最後の洗濯物をハンガーに掛けて渡すと、彼は目をまん丸にして受け取った。それを物干し竿にかけるでもなく、ぱちくりと瞬きを繰り返す様はやはり彼もまだ学生なのだと思える。
今はまだ、大企業に就職!なんて現実的な夢は見なくていいのだ。きっと。
胃を痛める心配も、夜眠れなくなる心配もしなくていい。彼には少しでも長く、今のこの何も考えなくていい時間を過ごして欲しい。大丈夫だって、なんとかなるってあたしが言っても説得力なんてないから。だから。秘密、なんて意味深な言葉を返したあたしに、ラギーくんはご丁寧に不満げな声を上げてくれる。
大人になるのはまだ先でいい。子供でいられなくなってからでいい。あたしはそう思う。
「じゃあ実際にレオナさんにご褒美とやらを貰いに行きましょ!」
どうせオレには感謝の言葉のひとっつもくれないッスけどね、と空になった洗濯籠を抱えるラギーくんに続く。レオナさんの部屋に戻って何か強請るのだろう。ラギーくんは勘違いしているが、レオナさんはあたしにだって何もくれないのだ。それこそ感謝の言葉のひとっつも。ただ、与えてくれるだけで。
お金は有れば有るだけいいし、甘いものやアクセサリーなんかのプレゼントでも嬉しい。でも、レオナさんが与えてくれるご褒美はそれらよりももっと貴重で価値がある。器用で守銭奴で現実主義で、そんな彼との時間。それが何よりも大切で、それが欲しいからあたしは度々こうして彼を手伝う為に声をかけるのだ。
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