愚者の行進
Name input
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
痛っと背後から上がる小さな悲鳴に振り返ると不思議そうにこちらを見上げるアイさんと目が合う。まぁ今までアイさんが満足するよりも先にオレから切り上げたことはないから仕方ない。それでも。
「こんな事もできちゃうんスよ?」
(なんでオレはこんな人が好きなんスかね。)
犬猫相手のように戯れてくる人なんて。男として意識されるよりも先に、人間として意識してもらわないと始まらない。そもそもこの行為だって、他の獣人に相手にされなかったからオレを選んだのであってオレだから選ばれた訳ではないのだ。そんな最低な人の筈なのに。
オレは魔法を解いた。
「油断してると喰われちまうッスよ!……こんな風に。」
先程まで頭に感じていた柔らかい頬に唇を寄せる。ちゅっとわざとリップ音を大袈裟に立てるとアイさんは自由になった掌を頬に当てたまま、飛び跳ねるように一歩下がった。
「中々いい反応するッスね〜アイさん。」
シシシと笑うと細まった視界にアイさんの紅い頬が入り込む。その程度で気分を良くするオレは愚者で、それに続く奴らも愚者で。だから
オレがレオナさんに干上がられそうになった時、自分のユニーク魔法で無理矢理レオナさんを笑顔にしたのを見て、アイさんはオレの魔法を
口先だけの綺麗事なんかじゃなくて、そんなものが微塵も関わらない勘違いだったから。自嘲を含んで名付けた
(オレも結構単純ッスね。)
それだけでこの人を好きになるなんて。
結局オレには
2/2ページ