切り札は最後の
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本当はそろそろ起きて準備をしないとヤバい。着替えて化粧しないと。そういやこっちは散々スッピンを晒してるけど、この人のスッピンは見たことがない。オレがオンボロ寮に駆け込む時はいつも起きているし、朝もオレより早く準備を済ませてるし。へー、ふーん。
「じゃあさ、今日も泊めてくださいよ。」
ニヤニヤと口元が歪む。見た事がないなら見ればいいだけの話。言ってしまえばオレの化粧なんて目元のハートマークだけだし、見られた所で痛くも痒くも無いんだけど。ただ、何というか、ズルイと思った。オレだけが隠している物を覗き見されているようで不公平だと、そう思った。
「しょうがないなぁ。でも、ちゃんとリドルくんに謝りなよ。」
「はいはい、そーしますよ。……でもアイさんも連日ソファじゃキツいっしょ?」
一緒に寝ちゃう?なんて軽口はついつい監督生に言うようなノリで出た物で他意はない。まぁどうせ下心があったところで、この人には効かないだろう。完全にオレを子供扱いするこの人には、どうせ。
(あ……マジ?)
ベッドに横たえたままアイさんの腰を抱き枕にしている状態のオレが視線を持ち上げると必然的にアイさんの顔を覗き込む形になる。どうせ呆れたような溜め息を吐かれると思っていたが、予想に反してアイさんの顔は赤く染まっていた。
いつだって大人で、余裕で、完全にオレを恋愛対象から外している筈のこの人が、まるで少女漫画の主人公のような顔をするなんて。なんだ、オレにもまだやりようはあるんだって頭に過ぎってハッとした。マジかよ、なんて言葉が小さく漏れて、それが多分アイさんに聞こえたんだろう。ちょっと傷ついたような表情で力の抜けたオレの腕から逃げ出すようにアイさんは部屋を後にした。
(うわー……マジかよ。ないわ、オレ。)
こういうの、ホント向いてないんだって。ぐるりと体制を仰向けに変えて天井を仰ぐ。手の甲を口元に持っていくが顔の熱さは誤魔化せない。頭の中があの人で埋まっていく。こんなんで今日、何気ない顔をしてこのベッドで寝れるんだろうか。ぜってぇ無理。大体あの人もあの人だ。あんな
とりあえず着替えて学校行って、そんで寮長に
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