そもそもの話
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ユウちゃんはどうにも私が生徒達に関わる事が気に入らないらしい。あからさまな態度は初対面の時からで、身に覚えが無さ過ぎてちらっと悩んでみた事もあったが、その理由は最近になって察しがついた。要はお姫様は私だけでいいのよ!と、そういうことだろう。自分がチヤホヤされる邪魔をするな、とそれだけだ。因みにそれに対しての私の感想としては、頑張れ、とシンプルなものである。
大体彼女は私を邪魔者扱いするが、とんだ見当違いもいいところだ。私と生徒達で幾つ年が離れてると思ってるんだ。残念ながら私にとって彼らは恋愛対象外である。
では反対はどうかというと、年上女性に憧れる男子高校生も少なからず居るだろうが、それは年上の前に"美人でミステリアスでナイスバディの"と付く女性だけだろう。そんな年上女性は確かにモテモテになるだろうが、残念ながら私には無縁の肩書きである。男子高校生に混じっておかずを取っただの取られただので盛り上がっている女なんて彼らの方からお断りの筈だ。結論として、生徒達と私がそういう関係になることは無いのだ。ほんの一ミリも。
まぁ、本当に微塵も可能性は無いのだけど、ユウちゃんが私を嫌っているのだから仕方ない。私達が空気を悪くする前に席を立とうと最後の一口を咀嚼して、それが喉を通った事を確認するかのようにコップに残ったお茶を飲み干した。あぁ、今日の食事も美味しかった。
「ご馳走様でした。」
「デザートは良いんですか?」
私を敬ってくれる数少ない生徒の一人であるトレイ少年は後輩達のした事を気にしているのかしていないのか、困ったように眉を下げこちらを確認する。良いも何もパンケーキはさっき私が取ったので最後の一つ。もう手に入らないのだから仕方ない。
「どっかのハートとスペードに取られたパンケーキはトレイ少年に作って返してもらうから別にいいよ。それじゃ。」
別にパンケーキくらいいいですけど、とトレイ少年の返事を聞き届けてひらりと右手を振って席を離れる。そう言えばユウちゃんのプレートにもデザートは乗ってなかったな、と思い返すと丁度エース少年がそれについて彼女を問い詰めていた。それに聞き耳を立てるとユウちゃん曰く、"トレイ先輩のケーキが美味しすぎて、ビュッフェのスイーツに満足出来なくなった"らしい。うわー、あざとい。そしてこれは多分、先程可愛くない口実でトレイ少年の手作りスイーツを予約した私への当て付けだろう。怖い怖い。そもそもの話、私が生徒達に手を出せる訳がないのに。
(成人女性が学生に手を出したら犯罪なんですよねー。)
まぁ、そんな法律が無くても年下は好みじゃないんだけど。