そもそもの話
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「うまっ。」
ケイト少年から奪った唐揚げをそのまま口にする。サクッとした衣はしっかりと油切りをされているのか、ギトギトとした油の不快感がない。衣の香ばしさとジューシーな肉汁が口内に広がり、思わずん〜っと頬が緩んだ。が、それを許すケイト少年ではない。
「じゃあオレは、チキンを貰っちゃおっかな〜。」
唐揚げを取られた事には目もくれず、彼の狙いは真っ直ぐにデュース少年のタンドリーチキンに向かう。こうなるともう無法地帯で、誰の皿かなんて関係ない。ただ食べたいものを食べる。半分は嫌がらせだ。だって取りに行けばまだ料理は残っているのだから。
私の目の前のトレイ少年はやれやれと溜息を吐きはするものの、便乗とばかりにエース少年からミニグラタンを奪った。それに文句を言うのは勿論エース少年で、その彼はまた、私の皿に狙いを定める。
「パンケーキは絶対譲らんぞ。」
「そう言われたら奪いたくなんだって!」
ひょいっと私の腕のガードも虚しく、最後のパンケーキが消えていく。あああ!っと大きな声を上げるも、パンケーキを奪った犯人はどうやらエース少年ではなくデュース少年のようで、こういう時だけ結託する二人に大人げなく喚いてやろうと口を開いたがそれも不発に終わった。
「お隣失礼しますね!トレイ先輩。」
頭上からの可愛らしい声が終戦を告げる。あーあ、残念。同時に私の修羅場的に平和なランチタイムも終わりのようだ。
「遅かったな、ユウ。」
「クルーウェル先生に午後の授業の準備を任されちゃったんです。エースもデュースも待っててくれないし!」
ぷくっと頬を膨らませる彼女に少年達の視線が向いたところで、私は食事のスピードを早める。あーあ、こんな美味しい食事を掻き込むなんて勿体ない。それに関して言えば、じっくり味わうはずだったパンケーキが消えてしまったのは救いだったのかもしれない。
次第にユウちゃんから少年達の視線が外れ、各々目の前の皿に向き合い始める。もう他人の皿からおかずを奪うような事は誰もしない。女の子の前でくらい大人である事をアピールしたいのだろう。可愛らしい奴らめ。
さて、その当の本人のユウちゃんといえば、未だ食べ終わらない私にご立腹のようでじとりとこちらに不機嫌な視線を向けていた。