もしもの話
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「で、結局アイさんは魔法が使えたら何をするんだ?」
私の勉強に付き合うのに飽きたのか、再度同じ話題を投げかけられる。まぁ、多分この場で真面目に勉強しようと思っているのはジャック少年だけだろうから仕方もない。というか、折角ジャック少年が教えてくれているのだからデュース少年とエース少年も便乗したらいいと思う。私は君たちの前回のテストの成績を知っているんだぞ。
さて、デュース少年に振られた話題に頭を切り替える。いや、魔法史から頭を切り替えるのが正しくないと分かっているが、如何せん、私も集中力が切れた。いくらこの世界の常識を学ぶために魔法史の基礎を教えて貰ってるとはいえ、どの世界でも歴史というのはひたすら暗記をする科目だから退屈だ。ジャック少年には申し訳ないが、デュース少年の話題に乗る方が楽しいに決まっている。私は魔法が使えたら、という想像を膨らませる。
元の世界で同じ話題が出たら、先程みたいに悪ノリ全開の回答をするか、適当に欲望全開の答えを出すが、ここではなまじ魔法が使えるのが現実である以上答え辛い。大金持ちや好きな人と両想い、なんてフィクションがここでは生々しすぎる回答になるのだ。あー、うん。そうだな。
「ユウちゃんの願いを叶えるかな。多分。」
「……え?」
彼女が君たちの中でたった一人のお姫様になれば、私への風当たりもマシになるだろう。そうすれば私の日常が平穏になる。
(あぁ、ダメだな。)
「やっぱナシ。私は魔法なんて使えなくていいわ。」
皆がユウちゃんに夢中になったら私ぼっちになるし。何より、クルーウェル先生に見向きもされなくなるのはダメだ。それは平穏な日常とは言えない。クルーウェル先生大事、めっちゃ大事。ついでに言うと、なんやかんや言いながらも、こうやってこの世界の常識が幼児レベルの私に付き合ってくれる目の前の彼らも、まぁ、大事といえば大事だな。うん。
ふわっと欠伸を漏らしながら腕を天井に上げ身体を伸ばす。ヴィル少年がこの場にいたら間違いなく平手が飛んでいたけれど、実際にここに彼は居ないので存分に体を大きく伸ばしてから肘を机についた。明らかに勉強する気を失った私の態度にジャック少年が呆れるかとも思ったが、予想に反して、彼はちょっと安心したように溜息を吐いていた。
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