真紅の暴君
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午前の授業がこれで最後である事を告げる鐘が鳴り終わるまで聞き届けてから、頭上のプレートの文字を確認する。うん、ちゃんと2年C組だ。クロウリー先生から聞いたクラスで間違いない。数時間前、ユウちゃん達と別れた後の話だ。
新しいタルトを持ってこないと寮に入れることができないとけーくんに言われて、渋々授業へ向かったユウちゃん達と別れた後、あたしは学園長室へと向かった。今朝はクロウリー先生がオンボロ寮に来なかったから仕事の指示がされていない。だから、その指示をもらう為だ。
結局今日の仕事は昨日と同じで、というよりは昨日出来なかったからと言うべきか、正門の掃除を言い渡された。
「正門だけでいいんですか?」
確か昨日は正門から図書室までのメインストリート全域だった筈だ。いくら昨日のあたしが彼の期待に添えなかったからといって範囲が狭まりすぎじゃないだろうか。
「昨日はユウくんとグリムくんが居たでしょう。魔法が使えない貴女一人にメインストリートを一日でなんて言いませんよ。あぁ!私、なんて優しいんでしょう!」
優しい、か。確かに。クロウリー先生は優しい。此処に来てたった二日しか経っていないが、その短期間でも彼の温情に触れたのは一度や二度ではない。だが、自分で優しいと言ってしまう事で残念な感じになっているのは否めなかった。
「……じゃあ、その優しいクロウリー先生にご相談なんですが、アルバイトがしたいです。何か方法はありませんか?」
「アルバイトですか。」
ふむ、と考えこむものの、どうしてアルバイトなんか、と言わない辺り、何かしらを察してくれているのだろう。有難い。流石に十分すぎる程の支援をしてくださっている方相手に、色々と入用があってお金が欲しいなんて言えない。下手を打つともっと支援しろと言っているように取られてしまう。
クロウリー先生はゆったりと口を開いた。
「それなら、2年C組の……。」
そこまで思い返したところでハッと我に返り、目的の人を探す為に教室の中を覗いた。
アズールくん。クロウリー先生から聞いた名前はフルネームだったが、残念ながらあたしには長すぎて一度聞いただけでは覚えられなかった。なんちゃらプロット?みたいな名前だった気がする。皆スペードくんとかけーくんみたいな分かりやすい名前だったらいいのに。そういえばエースくんの苗字……いや、この場合はファミリーネームかな。ファミリーネームはなんていうんだろう。これでハートとかだったら流石に狙いすぎてて引く。いや、彼のご両親に対してではなくて、寮分けをした鏡に対して。