真紅の暴君
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(身体が痛い……。)
エースくん程身長があるわけではないし、あたしならそうダメージもないかと思ったが完全に思い上がりだった。あたしはソファから起き上がりバキバキと音を鳴らして身体をほぐす。あぁ、昨日の疲れが残っている。身体が重い。そしてなにより眠い。
(昨日は干したての布団で寝るハズだったのになぁ。)
まぁ譲ったのは自分だし、そこに文句はないのだけど。時計を確認すると予定していた時間を少し過ぎていて、あたしは慌てて洗面室に向かった。エースくんが起きる前に身嗜みを整えておかないと。彼が起きる前に化粧をして着替えを……否、流石に着替えは鉢合わせたらまずいからシャワー室でしよう。
あたしは自室の扉を軽くノックして、返事がない事を確認するとそのまま部屋に入った。本来ならマナー違反だが、一応ここはあたしの部屋なのだから許してもらおう。あたしは昨日と同じく適当に化粧を施して、クローゼットから運動着を取り出してから、チラリと視線をベッドに向ける。何となく予想していた通りの寝相でお腹が出ている姿が微笑ましい。
(エースくん、起こした方がいいかな。)
時間にすると少し早いような気もするが、彼はあたしの知っている男子高校生と違って化粧をしている。あのハートマークにどれだけの時間がかかるかは知らないが、洗顔と着替えだけで準備が済まないのなら早めに声をかけたほうがいいかもしれない、とそこまで考えて、とりあえずあたしの身嗜みが整ってからにしようと結論を出した。
理由はいくつかあるが、一番の理由は彼の着替えを回収していないからだ。今朝方洗濯した制服のシャツとインナーが乾いているか確認してからでも遅くはないだろう。あたしは自分の運動着だけを腕に抱いてシャワー室を目指したが、丁度談話室の辺りで足を止めた。
ドンドンと扉を叩く音がする。割と容赦のない力加減に周囲の埃が舞う。どちら様?なんて口にしながらも、この扉の先の人物には粗方予想が付いていた。
「おはよう、スペードくん。早いね。」
「おはようございます。エースは来てますか?」
「来てるよ。着替えたら起こしに行こうと思ってたところ。」
あぁやっぱりそうだった、と予想通りの人物を寮内に招き入れると、スペードくんがドアを叩く音で目が覚めたのか、エースくんが降りてきた。