Wellcome to the Villain's world.
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「エース、来ませんね。」
ユウちゃんがそう言って困ったように眉を下げる。放課後になってから結構な時間が経つが、今回の罰則のメインメンバーであるエースくんの姿はない。半分は彼の所為だというのに。
「もう少し待ってみようか。もしかしたら授業の内容とか、先生に質問してるのかも。」
「そんなタイプには見えませんでしたけど。」
バッサリとあたしのフォローを無我にするユウちゃんに乾いた笑い声が漏れた。
朝のあの騒動はクロウリー先生の登場により幕が下りたが、その代わりに窓拭き100枚の罰則を受ける事になった。そのメンバーにあたしとユウちゃんが含まれているのは監督不行届と言うことだろう。ユウちゃんとセットで学園への滞在を許されているグリムを止める事が出来なかったユウちゃんと、大人であるにも関わらず子供達の喧嘩を止められなかったあたしの罪状は同じである。
「うーん、でもいくら何でも遅すぎだね。あたし、先に掃除始めておくからユウちゃん達で探してきてくれない?」
そう言いながらユウちゃんの返事を待たずに雑巾の入ったバケツと脚立を担ぐ。気分はどこぞの庶務二課だ。あんな女性になりたいが残念ながら身長を始めとした諸々が足りなさそうだ。
(まぁ、多分サボりだろうな。)
そうは思っても口には出さない。彼の気持ちもよく分かる。けれど面倒だからボイコット、なんて事が許されるのは彼が子供だからであって、あたしには許されていない。ユウちゃん達にエースくんを頼んだのも同じ理由だ。もしもユウちゃん達が投げ出したいと思うのならそれでもいいと思ったから。でもまぁ、ユウちゃんは多分、あたしと同じで正直者が馬鹿をみるタイプだろう。彼女はサボったりはしなさそうだ。
あたしは廊下に出て適当な教室を覗く。どこの窓を拭けという指示はされてないし、どこのでもいいから100枚拭いて終わらせてしまおう。途中でエースくんを捕まえられたユウちゃん達と合流出来たらラッキーくらいに思っておいた方が良さそうだ。
この学園の窓は一々デカい。というか位置が高いから雑巾で拭いていくのは骨が折れる。脚立よりもモップを用意した方が効率が良かったかもしれない。