Wellcome to the Villain's world.
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エースくんの笑い声に反比例してグリムの表情が歪む。グリムのその様相にユウちゃんが焦ったようにグリムを宥めるが、エースくんの紡ぐ数々のバカにしたような言葉に段々とそれは間に合わなくなる。このままだと完全に辺り一面が昨日のように火の海になってしまう。かと言ってエースくんはあたし達を馬鹿にする言葉を止めるつもりはなさそうで、仕方なくあたしは両手に拳を作り、ヒートアップしている二人の頭に振り下ろすべく大きく振り上げた。ここは拳に訴えてでも止めないと、大変な事になる。
「コイツ〜〜!言わせておけば!もう怒ったゾ!」
グリムが唸り声を上げるとエースくんの進行を邪魔するように青い炎が広がる。間に合わなかったあたしの拳が情けない。あつっと反射的に口にしてのけ反った方向はエースくんの隣で、グリムの炎の範囲に入ってしまっていた。
このままグリムがエースくんを狙うとあたしも巻き込まれる。それはまずい。どうにか逃げようにも360度炎に囲まれていて逃げ場がない。気休めにグリム、と声を張ってみたがそれも効果が見られなかった。寧ろそれを合図にしたかのようにグリムの炎が此方へ向かってくる。もはやあたしにはどうにも出来ず顔の前に腕を持ってくる事で被害を抑えようと構えるが、グリムの炎があたし達に届く前に強い風が吹き軌道を変えた。
「え……って、あっつ!」
恐る恐る腕を下ろすと逸らされた炎はあたしの足元に落下し、結局また、熱いと口にしてエースくんの方へ身体を寄せる。それを狙ったかのようにエースくんはあたしの肩を抱き、ニヤリと笑った。それをいつの間にか集まっていたギャラリーが囃し立てる。いいぞ、やれ、と無責任な言葉を止める術はない。ユウちゃんもユウちゃんで、風を操る魔法もあるんだ、なんて感心しているようでグリムを止める事を忘れてしまっている。なんて呑気な。
エースくんがチラリと腕の中に居るあたしへと視線を向けた。その瞬間。
「くらえ!」
「そんなん風で矛先を変えてやれば……そらっ!」
グリムがこちらに一際大きな火の玉を向けた瞬間に、エースくんの視線はあたしから火の玉に向き、そのまま彼の起こした風が火の玉を逸らす。その逸らされた火の玉は先程まで話題の渦中に居たハートの女王の像を焦がした。
「オマエが風で炎の向きを変えるからだゾ!大人しく燃やされろっ!」
「そう言われて燃やされる奴がいるかっての!てか、アイが燃えてもいいワケ?」
グリムがもう一度炎を出そうとした時、エースくんはあたしを盾にするように前に出した。薄々分かってはいたが、彼はあたしを庇うのではなく、あたしを盾にする為に抱き寄せたようだ。呆れたように溜息を吐き出し、焦げた像をどうするか考え始めたところでクロウリー先生の怒号が聞こえてあたしは米神を押さえた。