もしもの話
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もしも魔法が使えたら、なんて話題はそれ程珍しいものじゃない。空を飛びたいみたいなファンタジーな回答も有れば、金持ちになりたい、好きな人と両思いになりたいなんて欲に塗れた回答もある。ならば私の回答はというと。
「魔法が使えたら?とりあえず透明人間になって女風呂行くよね。」
答えると同時にゲシッと机に叩きつけられる。この容赦ない力加減は誰だ。と頭を持ち上げようとするが頭にかかる負荷が大きすぎて持ち上がらない。マジで誰だ。
「な、何を言い出すんだ!」
「うるさっ!」
多分両耳を塞いでいるであろうエース少年の声からして、多分私の頭を押さえているのはデュース少年だろう。今日も今日とて、私が行動を共にするのはマブの二人である。私はデュース少年の物であろう腕を振り払って顔を上げた。
「大体、アイさんは女だろ。透明人間になる必要なくないっすか。」
「いや、テンプレじゃん。聞かれたらこう答えないといけないかなって。私のキャラ的にも。」
「うわぁ、アイさんが魔法使えなくてよかったわ。」
着替えとか覗かれそう、と両手を胸の前でクロスさせながらいやーと首を振るエース少年の頭を叩いた。ついでに真面目に返してきたジャック少年に空気を読めと視線を送っておいた。
「いや、私だって魔法使えるかもしれないじゃん。魔法はイマジネーションだってエロい人が言ってた。」
「偉い人な。それ言ってたの学園長じゃん。」
くっそコレも通じないのか。誰かイデア少年連れてきて。多分伝わる。ノッてくれるかは別として。
私は溜息を吐いて、思い出したように手元のノートにペンを走らせた。ノートの傍らには魔法史の教科書が広げられている。私の正面に座っているジャック少年がトントンとノートの一文を指先で示した。
その部分を視線でなぞると、成程、確かに写し間違えている。修正しようにも私は魔法が使えないので隣にいるエース少年の肩を突いた。この世界に早く鉛筆と消しゴム、もしくは修正液という文化ができることを祈る。いや、ナイトレイブンカレッジを出れば魔法を使えない人もいるのだから、そういった文明の利器もあるのかもしれないが。今度Mr.サムに聞いてみよう。多分