だいすきを伝えて(ミルムル)
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『だいしゅきで溢れている』
松竹しゃんが用意してくれたクローゼットの奥から、しまっていた赤いリボンを取り出すでしゅ。そのリボンはあの日、お兄たまがくれた大事なリボン……少し色褪せていましゅが、ボクが手に取ったほんの一瞬だけ、優しい光をキラリと輝いた気がしましゅ。そのリボンをボクは胸に寄せて、ぎゅっと抱きしめるでしゅ。なんだかお日しゃまの日差しをたっぷり浴びたみたいにじんわりと、胸の奥があたたかくなってくるのを感じましゅ……。
――ムルモのやつ、メールちゃんと見てるよな……今日妖精学校の登校日だって、ちゃんと覚えてんのかな。オレがあいつのところまで迎えに行くか……
その場にいないはずのお兄たまの声が聴こえてきましゅ。今お兄たまは楓しゃんのお部屋にいて、妖精学校に行くための準備を楓しゃんが忘れていたから一緒に手伝っているはずなんでしゅが――時々こうやって、お兄たまの声……心の声が聴こえるようになったんでしゅ。たぶん、お兄たまもボクの声が聴こえているはずでしゅね。
――お兄たま! ちゃーんと覚えてましゅよ。今から行くから、待っててくだしゃいね! キャハ♡
――ムルモ、聴いてたのか。早く準備しろよ。
――あいでしゅ♡
こうやって会話も出来るんでしゅよ。けっこう便利なんでしゅ。
「ムルモー、起きてたの?」
「松竹しゃん、見てたんでしゅか」
松竹しゃんがにこりと笑いかけましゅ。
「今日は妖精学校だよね? 行ってらっしゃい!」
「いってきましゅ!」
ボクは松竹しゃんの手に載って頬擦りしましゅ。「いってらっしゃいのあいさつ」なんでしゅ。さて、ボクは松竹しゃんが見守る中、クローゼットのある机からマグカップの置いてある机までうちわで飛んで、薄紫色をしたマグカップの中にぴょんと飛び込みましゅ。
◆
「うわあ〜……! 妖精新聞見たべ〜、ミラクルな二人組、すぐ近くでみられて感激だべ……!」
「ミラクルな二人組、なんて美しい響きなんだ……」
「その呼び方やめろぉ〜!」
「いいじゃない。それ、とっても似合ってるよ!」
「オレは良くねー!」
妖精学校のお昼休みでしゅ。ボクはお兄たまの教室にお呼ばれして、お兄たまに楓しゃんにリルムしゃん、しょれにお兄たまの友達のペータしゃんとビケーしゃんたちとお菓子を食べながらお話してるんでしゅ。
しょれにしても妖精新聞の効果はしゅごいでしゅね……パピィから五日前に号外が出たことは聞いていたでしゅが、恥ずかしくて目を通せなかったんでしゅ。お兄たまはビケーしゃんやペータしゃんに『ミラクルな二人組』って言われて嫌そうな顔をしてましゅが、ボクはこの呼び方、実はとっても嬉しいのでしゅ。
「でも……リルムはいいんだべか? リルムはミルモと婚約してたんだべ?」
ペータしゃんがシュークリームを食べようとしていたリルムしゃんに尋ねましゅ。
ボクもリルムしゃんをじっーと見つめましゅ。……ボクも、そのことが一番気がかりだったのでしゅ。
「そのことなら私、もう納得がいっていますわ。ミルモ様にとって、ムルモ様のおそばにいることが本当の幸せであり、一番自分らしくいられますもの。それに、ムルモ様も……」
リルムしゃんがボクの顔を見て、花のように微笑んできましゅ。
「ミルモ様とムルモ様が幸せでいることが私にとっての幸せなのですわ」
「リルム……」
ペータしゃんが持っていたドーナツを落としましゅ。
「ほんとうにミルモとムルモのこと大切に思ってるんだべな〜! おれっ……、感動しすぎて……涙がどまらないべぇ……っ!」
ペータしゃんの目からドバドバと……滝のような涙が出てきて、ボクにまで飛沫が飛んでくるでしゅ!
「おい、泣くなよペータ。せっかくのお菓子がびしょ濡れになるぜ」
「そんなこと言われても、止まらないものは止まらないべ〜!」
「まあまあペータさん。一緒にお菓子を食べましょう。私の手作りお菓子もありますわ!」
「おいリルム……ペータがどうにかなっちまうぞ!」
イヤな予感がしゅるでしゅ!
お兄たまがお菓子袋を開けようとしたリルムしゃんの手を咄嗟に掴むと、リルムしゃんが先程の穏やかな表情とは違う、まるで氷のような眼差しでお兄たまを見つめましゅ。
「ミルモ様……どういう意味ですの!?」
「お、おいリルム、落ち着け……そんなもん食わせて、ペータのやつがぶっ倒れたらどうすんだよ」
「せっかくの私の手作りお菓子をそんなもん呼ばわりなんて……ミルモ様の、ミルモ様の……ばかぁーー!!」
リルムしゃんの拳がお兄たまのほっぺを捉えて、真っ直ぐに撃ち込まれると、お兄たまはその衝撃でちょうど開いていた教室の扉から、廊下までふっ飛ばされていくでしゅ……!
「おっかねえだべえ……っ!」
「美しいバラにはトゲがあるものさ」
ペータしゃんが震えてましゅ。ビケーしゃんは髪をかきあげて決めポーズしてましゅ……相変わらずでしゅ。
「ああっ、私ったら……ミルモ様ぁー!」
正気に戻ったリルムしゃんがすかさず教室の外に出ていくでしゅ。ボクもついていきましゅ。廊下には、気絶したお兄たまが魂が抜けた姿で倒れていましゅ……。そこに、ひとりの妖精が素早く駆けてくるでしゅ。
『あら、ミルモくんじゃない。痛くない? 大丈夫? ……すぐに手当てしないと!』
ナーシ先生でしゅ! ナーシ先生はお兄たまの身体に触れてから声をかけて、意識が無いことを確認すふと、お兄たまを保健室へ連れて行こうとしゅるでしゅ。
「私も行きますわ」
「ボクも手伝うでしゅ!」
◆
「ミルモくん、もう大丈夫よ。廊下に倒れていたときはびっくりしたわ。それにしてもあの時以来ねえ。みんな、元気だったかしら?」
「元気じゃねーよ。リルムのやつがいきなり……」
「ミルモ様ぁ!?」
「まあまあ、仲良くしようよ……」
ナーシ先生がお兄たまの手当てを終えると、お兄たまがボクの隣にやってきて手を繋いできましゅ。そしてナーシ先生はボクとリルムしゃん、様子を観に来た楓しゃんの方に視線を移すと、いつもの優しい顔で微笑みかけるでしゅ。
『お邪魔しまーすっ!』
保健室の扉が開くでしゅ。現れたのは妖精新聞のニュース三人娘と……パピィもいるでしゅ。
「ムルモ、こんなところにいたのね! それにミルモたん、リルムたんも! お久ちぶり!」
「お久しぶりですわ〜」
「よお、パピィ。一週間ぶりだな」
「そうだわ、ニュース三人娘があんたたちに会いたいって言ってたから案内ちてたの。あたちもふたりをレクチャーちたかったからちょうど良かったわ……あれ、あんたたち……やっぱり雰囲気変わったのね? 手なんかフツーに繋いじゃって!」
パピィはボクとお兄たまが手を繋いでいるのを見つけて、嬉しそうに笑いかけてきましゅ。パピィはホント、余計なお世話でしゅ。
「じゃあ早速良いですか? あたしたちが伺った理由というのは、五日前に妖精界中に配った『妖精新聞 特別号外ゴー!』のことなんです。見てもらえますか?」
ワカバしゃんがしょの記事を取り出して見せるでしゅ。一面には「ミラクルな二人組、誕生!」という見出しでボクとお兄たまが一緒に魔法を使うところがデカデカと載っているでしゅ。ワカバしゃんが人数分取り出して配ると、ボク達はパラパラと新聞を開いて読み始めるでしゅ。
「ねえミルモ、妖精文字上手く読めないからなんて書いてあるか教えてよ!」
「やなこった〜」
「ミルモのいじわる!」
「『大ニュース! マルモ国王に「ミラクルな二人組」と認められた、ミルモ王子とムルモ王子が使ったものすごい魔法「虹の魔法」の影響で、妖精界では一晩じゅうオーロラが観測されました』……まあ、素晴らしい記事ですわ!」
リルムしゃんが記事を見て目をキラキラと輝かせて、うっとりしているでしゅ。
「『ミルモ王子とムルモ王子はお互いのことが
パピィがボクに記事を見せてきたでしゅ。……そ、それはお兄たまとボクのふたりきりでいたところの写真と会話でしゅ……ほんっとうに恥ずかしくなって、ボクは手で顔を覆いましゅ……。
「あ、そこは分かるよ! 『ムルモ〜、一番星見ようぜぇ!』のところだよね? ひゅーひゅー!」
「楓、またそれかあ! だからオレはそんな感じに言ってねーって!」
「またまたー!」
「あら、父さんの論文が載ってるわ。『魂の絆と虹の魔法の法則、および妖精界で観測されたオーロラとの関連性について』さすがねえ……」
お兄たまと楓しゃんがケンカになる中、ナーシ先生は新聞に掲載されているゲンパしゃんの論文を読んで、ふんふんと頷いてましゅ。
「なあにこれ、ちんぷんかんぷんじゃない!」
「うるしゃいでしゅ! ふん、パピィはおばかでしゅね。ボクは分かりましゅよ……えっと、これは……」
パピィがバカでかい声をあげましゅ。ボクも試しに読んでみましゅが、難しい内容で
「分かりましぇんね……」
「なによ、あんただって分からないんじゃない!」
「写真、うまく撮れててよかったわ〜!」
「わたしも記事も頑張って書けたわ、最高ね……おやすみなさーい……」
『ねるなー! すうすう……』
チーエしゃんにツッコミを入れたワカバしゃんとトモンしゃんがその場に座り込んで、すうすうと寝息を立てるでしゅ。
「……はっ、しまった!」
ワカバしゃんとトモンしゃん、それと少し遅れてチーエしゃんが「おはようー」と目を覚ますと、ワカバしゃんが「おはよー、チーエ!」挨拶をしましゅ。
「ワカバ、つられてんじゃないわよ……すうすう……いっけない! また寝ちゃいそうになったわ!」
「もしかして、寝不足かしら? クマがあるわよ」
ナーシ先生がワカバしゃんの隣に座り込むと、顔を覗き込むでしゅ。よく見るとワカバしゃんたち、目の下がクマで黒くなってましゅね。
「はい……実はあたしたち、五日前に新聞を配ったんですが、それから山のようにお便りが来ちゃって、それに全部目を通していたら寝る暇が無くなっちゃったんです……それに……」
ワカバしゃんが一枚の紙切れを取り出すでしゅ。
ナーシ先生がその紙をワカバしゃんから貰って、読み上げるでしゅ。
「どれどれ……『あなたたちが書いた『妖精新聞特別号外ゴー!』が妖精スクープ大賞に輝きました。一週間後の授賞式までに授賞記念記事を書いて、授賞式で発表してください』……なるほど。それであなたたちがここまで訪ねてきたのねぇ」
「ニュース三人娘さん、妖精スクープ大賞に選ばれましたの!?」
リルムしゃんが驚きのあまり、ズルっと滑って腰を抜かしましゅ。まさかボクたちの記事が『妖精スクープ大賞』になるだなんて……ほんとうに大変なことになったでしゅ!
「ねえ、『妖精スクープ大賞』ってそんなにすごいの?」
楓しゃんがリルムしゃんに尋ねましゅ。
「ええ。『妖精スクープ大賞』は妖精界で発行される新聞記事の中から、歴史が変わるような出来事を捉えたり、人の心を動かしたりするような素晴らしい記事が表彰される、妖精界において最も名誉な賞のひとつなのですわ!」
リルムしゃんがもう一度目をキラキラと輝かせましゅ。
「ほんとうにすごい賞なんだね!」
「まさかこいつらが選ばれるとはな」
「ミルモ王子、ひどいじゃない!」
ワカバしゃんとトモンしゃんがキッとお兄たまを睨みつけましゅ。
「あたしたち、今日中に続きの記事を書かないといけないんです。それに、いろんな妖精から意見をもらったんです。このことに関して良い意見もあれば、それに……心配だという妖精からの感想も……」
「やっぱり、そうなのですね……」
リルムしゃんが手を合わせて声を漏らしましゅ。楓しゃんはそれを見て首を傾げましゅ。
「心配って? ミルモとムルモちゃんにとってはそれが一番なんでしょ?」
「楓さん、妖精界では様々なカタチのパートナーがいるわ。妖精の世界ではどんなカタチの愛も尊いものだし認められる、それが妖精界なのよ。でも、ミルモくんとムルモくんの場合は……」
ナーシ先生がほっぺに手を置いて、眉を潜めましゅ。楓しゃんはナーシ先生の方を見てから、ボクたちに視線を動かしましゅ。でも、ボクたちの気持ちは変わりましぇん。
「まあっ、そんなもんだろ」
「仕方ないことかもしれましぇんね」
ボクとお兄たまはにっこりと笑いあって目を見合わせましゅ。
「それにムルモと」
「お兄たまとなら……」
『どんな問題だって越えていけましゅもん(いけるだろ)!』
ボクとお兄たまの声が揃いましゅ!
「そうだよ、ふたりとも決まってるう!」
「ちょうよ! そのくらい強気でなくっちゃ!」
「あたし達も、応援してます!」
「そうねえ。ふたりなら大丈夫。アタシもなにかあれば相談に乗るわ」
みんなそれぞれ、ボクたちに応援の言葉を述べるでしゅ。
――しょして、リルムしゃんがボクとお兄たまの前に歩み寄るでしゅ。
「……ミルモ様にムルモ様、私からも感謝の言葉を……私、ミルモ様のことがとても、とっーても大好きでしたわ。――けれども、ミルモ様はムルモ様のことを……ムルモ様もミルモ様を慕ってらして……そのことで、私は……っ」
リルムしゃんの目元から透明なパールのような涙がいくつも溢れて、ぼろぼろとほっぺを伝って流れ落ちましゅ。お兄たまはそんなリルムしゃんに駆け寄って、なんだか寂しい表情をしながらゆっーくりと手を差し出そうとするでしゅ。ボクはその様子をお兄たまの後ろの方でドギマギしながらじっと眺めるでしゅ。
「……ですが私、ミルモ様とムルモ様を繋ぐ架け橋になれてとっても……光栄で、とっーても幸せですわ!」
リルムしゃんは涙を浮かべていた目を手でバッと拭い去ったあとボクたちの顔をみつめて、満開の花が咲くお花畑が見えるくらいの、とびっきりのキラキラした笑顔をボクたちに向けてきたでしゅ!
「……なあリルム。オレのこと……オレたちのことをそこまで……ずっと想ってくれて、サンキューな!」
しょんなリルムしゃんの両手をお兄たまは優しく包みこんでから、リルムしゃんに負けないくらいの
「ミルモ様にムルモ様、ふたりとも……どうかお幸せに!」
お兄たまとリルムしゃんはしばらくの間ずっと見つめ合って、ずっと眺めていたでしゅ。ボクはしょんなお兄たまとリルムしゃんがほんのちょぴっとだけうらやましくて……それでも本当に、本当に嬉しくて、涙がぽろりと流れ落ちたでしゅ。
「これよ! スクープだわ!」
「なんだよっ! 急に……」
その直後、トモンしゃんのカメラのシャッター音がパシャリ、パシャリと切られるでしゅ!
その横でワカバしゃんが身を乗り出して、その様子にボクたちはびっくりして後ずさったでしゅ。
「そうよ! 後日談を記事にしましょう! ミルモ王子とムルモ王子がその後どのようになったのかを……そして、これはあたしのアイデアなんだけど……」
ワカバしゃんは服のポケットから小さな紙切れの束を取り出したでしゅ。しょれは……遊園地のチケットでしゅ!
「遊園地の管理人さんから貰ったの。ミルモ王子&ムルモ王子の記念デートよ!」
「面白そう! わたし、ムルモ王子の思う理想のデートを考えたことがあるの……ホラ」
チーエしゃんはニコリと笑って手帳のページを見せてきたでしゅ。
「わたしたち、取材するからには全力でサポートするわ」
◆
それから放課後、人間界にある楓しゃんのおうちでお菓子パーティーが行われたでしゅ。山盛りのお菓子を食べながら、みんなといろんな話で盛り上がって、あっという間にお開きになったでしゅ……。
「じゃあムルモ、また
「あいでしゅ!」
ボクはマグカップの中に入ったパピィを見送ると、後ろからお兄たまに声をかけられるでしゅ。
「なあムルモ、今日は遅いし泊まっていかねーか」
「お兄たま、『妖精は一家にひとりまで』って……」
「オレが良いってんだから良いんだよ!」
ボクはお兄たまのほうを振り返るでしゅ。腕を組んだお兄たまはほっぺを真っ赤なりんごのようにして、顔をぷいっと横へと向けたでしゅ。
「わたしね、ミルモとムルモちゃんが寝られるように新しい布団、用意したの。手作りなんだから」
楓しゃんはボクたちに向けて布団を見せて、ひらひらさせたでしゅ。
「オレが修行に来る前はずっと寝てたんだし、たまには一緒に寝ようぜ。それとも嫌か?」
「お兄たま、ボク……一緒に寝たいでしゅ!」
お兄たまを見つめながら、胸を両手で抑えながらこう言ったでしゅ。お兄たまはボクの手をそっと繋いだでしゅ。
◆
カーテンの隙間からお月しゃんの淡い光が、お布団に差し込んでくるでしゅ。ボクはお布団のぬくもりを感じながら、すぐそばのお兄たまの横顔をじっーと眺めましゅ。
「オレさ、ムルモにちゃんと自分の気持ち伝えてなかったよな」
横になったお兄たまがぽつりとこう漏らしましゅ。
「お兄たま? ボク、お兄たまの気持ち伝わってましゅよ」
「自分の口で伝えてなかったろ。オレ、ムルモのことずっと好きだった。ずっと前から、下手すりゃ生まれたときから……」
お兄たまはボクの方を向いて、すごく優しい、穏やかな表情でボクの顔を見つめながら、手を握ってきましゅ。そしてボクの手を眺めてから唇を近付けて、そっとキスをしましゅ。なんて優しいキスなんでしゅかね……。
「おめーが赤ん坊の頃にやっときたかったんだ。でも、恥ずかしくてよぉ……」
お月しゃんに照らされたお兄たまの顔が一瞬、ほんのり赤くなるでしゅ。
「でも、今はおめーのことどう言ったら分かんねえや。すごく大事で、大切な……」
――お兄たまの気持ちが、手に取るように伝わってくるでしゅ。
ボクの胸がほんのりと、温かい気持ちで包まれるでしゅ。
「言わなくても分かりましゅよ。これからはずっと……」
「ああ、分かってる」
――オレたちは……
――ボクたちは……
――ずっと一緒だもんな!
――でしゅ!
ボクとお兄たまはほっぺをくっつけて、ぎゅっと寄り添いましゅ。しょして手を繋いでから、目を閉じて幸せな眠りの中におちていくでしゅ……。
◆
「妖精遊園地はざっとこんなもんよ。ムルモ、準備はいい?」
『ウブなあんたのために事前リサーチするわよ! いい?』とパピィにいわれたのも束の間、妖精遊園地の園内をぐるっと回り終えて広場のほうに戻って来たでしゅ。しょれにしてもパピィと一緒なんて、腐れ縁にもほとほと呆れたもんでしゅ。でも……メリーゴーランドもコーヒーカップも観覧車もとにかく楽しかったでしゅ。ジェットコースターは、ちょっと怖かったでしゅけどね……。
「パピィ、一緒にまわれて嬉しいでしゅ」
「ふうん……あんたらしくないわね」
「別に、いいじゃないでしゅか!」
パピィが一瞬呆れたように笑うでしゅ。
「はいこれ。あんたにプレゼント」
パピィがボクの手をぽんと真っ赤なハート型のブローチを置いたでしゅ。
「ブローチよ。あたちね、あんたに告白しようと思って」
「告白、でしゅか?」
「ちょうよ。あたち、ムルモのことが好きだったの」
パピィがボクを……好き?
「えっーと……いったいどういうことなんでしゅか?」
そよ風が吹いて、パピィの髪と帽子を揺らしましゅ。その後パピィは大きく深呼吸して、ボクを真っ直ぐに見つめて話しだしたでしゅ。
「ちょれは……あたちにもわかんないの。――あたちはムルモが大好き。ちょれは友達とか、恋ちてるのかなんてどうでもいいわ。あたちはムルモは好き。マシュマロが大
パピィのありったけの、バカでっかいくらいの叫びがボクの耳に響いたでしゅ。
「はあ、はあ……これが……、あたちの気持ち。ムルモに聞いてほしかったの」
「……嬉しいでしゅ。ボクもパピィが大
ボクの口から素直な気持ちが出てきましゅ。パピィのありったけの告白を聞いて、ボクは嬉しかったでしゅ。そしてボクはハートのブローチをぎゅっと握りしめましゅ。
「パピィ、ボク……」
「さっ、いきまちょ。ムルモとミルモたんの
パピィはウィンクを決めると、ボクの背中を勢い良く、ドンと押しましゅ。
「ふたりとも、いたいた!」
「ムルモ様にパピィさん! ミルモ様が到着なさいました!」
遠くの方から楓しゃんとリルムしゃんが見えて、遠くからお兄たまの声が聴こえてきましゅ。
「おーい! ムルモ〜!」
「お兄たま!」
お兄たまがボクに駆け寄ってきて、ぎゅっとボクを抱きしめましゅ。暖かい気持ちで、胸がぽわっとなって……ぽかぽかしましゅ。
「ムルモ、頑張んなちゃいよ!」
「ファイトだよ!」
「お二人とも、頑張ってください!」
後ろから三人が応援してましゅ。少し遠くの方で、ニュース三人娘とナーシ先生も見守っていましゅ。
――手、繋ぐぞ。
お兄たまとボクの手が重なりましゅ。そのとき、陽だまりのようなぽかぽかと一緒にほんの一瞬……透明な光の糸がきらりと光るのが見えた気がしましゅ。
「あい、お兄たまを支えてやるでしゅ!」
視線で合図してから、笑いあって――
ボクとお兄たま……ふたりで、遊園地の広場を駆け出していきましゅ――。
『だいしゅきで溢れている』(完)
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