ねえ、サンジくん




ん？ 何だいプリンセス




私のこと好き？




そりゃあ勿論、好きさ


































果てしなく続く青色を見上げながら小さく息を吐く





遠くから聞こえる恋人の甘ったるい声





しかしその声は名無しへと向けられたものではない





｢ナミさ～～～～ん！
喉渇いてないかい？特製ジュースを持ってきたよ～～～♡｣



｢あら、ありがとっサンジくん｣





そうこれはいつもの事





彼は優しいのだ、女の子には格別に




そんなところを好きになった




その優しさに惹かれた






｢サンジくんこの前ケガしたとこまだ治ってないんじゃない？大丈夫なの？｣



ナミが心配そうにサンジの手元を見る




サンジは自分の左手を少し振りながら




｢あぁ、もう平気さ。料理をするにも支障はないよ｣




と目を伏せながら微笑んだ









あ、

嘘だ








彼と過ごすうちに気付いてしまった



嘘をつくときに、目を伏せる癖




ただの強がりではない、皆を心配させないようにしているのだ




本当に、優しいなあ




そんなことを考えているとサンジがキッチンへと戻っていくのが見えた





いまの時間はキッチンにサンジくんしかいないはず




名無しの足はサンジを追うように自然とキッチンへと向かっていた













ガチャッ




ドアを開けると何やら作業をしているサンジが見えた




しばらくその光景から目を離せずにいるとサンジが入口で佇む名無しに気が付いた




｢名無しちゃん！
ちょうど良かった、いま君の為にとっておきのデザートを作ってるんだ
すぐに出来るよ、もし良かったら座って待っててくれないかい｣





そう言い最高の笑顔をこちらへ向けた




名無しはえぇ、と頷きサンジがよく見える場所へ座った




彼が料理をしている所を見るのはとても好きだ




その動作ひとつひとつが美しく感じる





睫毛長いなあ……




ぼうっとそんなことを考えながら、そういえば彼に好きだと伝えたのもこの場所だったとふと思い出した




突然だったにも関わらず彼は優しく受け入れてくれた




｢サンジくんは本当に優しいよね｣




そうつぶやくと一瞬驚いたような顔をした後、




｢君ほどじゃあないさ｣




と微笑んだ





いいえ、私はひどい人間よ


本当は気づいているの




だけど、貴方の優しさがただ 欲しくて、




名無しはサンジをじっと見詰めた




｢ねえ、サンジくん｣




彼の手元では色とりどりの果物が並べられている




｢ん？何だいプリンセス｣





デザートが出来上がった




｢私のこと好き？｣




ゆっくりとした足取りで名無しへ近づきデザートがのったお皿を静かにテーブルへ置く





｢そりゃ勿論、好きさ｣





ええ、そう、本当は気づいているの





あなたが私を好きだと言う、瞬間の 伏せた睫毛が好きよ、





それが貴方の優しさ