短編集
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積もる砂を払い、少女は遺跡の奥へと歩みを進める。キングデシェレト文明に関する調査の為に砂漠のとある遺跡にやってきていた彼女は、この場に自分以外の先客が居たことに感嘆を零す。
「あれ? 珍しいね。二人でこんなとこにいるなんて」
見慣れた二つの背に嬉々として駆け寄り、少女は不仲であった筈の彼らが行動を共にしていることに喜びを露わにする。
しかし声に驚き振り返った青年は、それを否定するかの如く、彼女に助けを求める視線で憤慨を叫ぶのだった。
「サージュ、聞いてくれ! こいつと来たら、僕を足手まとい扱いするんだ!」
「そうは言っていない。君と共同で何かをするわけでもないのに、無駄に後を追って来られるのは迷惑だとは言ったがな。君もそう思わないか、サージュ」
青年に反論して苛立ちをぶつけてくる男に、サージュと呼ばれた少女が眉を下げ苦笑を見せる。
どうやらこの奇妙なルームメイト達は互いに示し合わせてここに来たのではなく、自分と同じように全くの偶然によって集ってしまったようだ。
確かに絶望にも等しい破鏡を経たとはいえ、共に暮らすようになってそう短くない二人が今もまだ険悪な仲を保ち続けていることに寂寥を抱きながら、少女は男の問いに答えた。
「でもアルハイゼン、ここは道が一本しかないから…必然的に一緒に行くしかないよ。カーヴェ先輩が危ない目に遭うようなら私が助けるから、そう邪険にしないであげて」
胸を叩き、彼らの助けになると豪語する。一度放った言葉を決して曲げようとはしない彼女の真摯な眼差しに、男は渋々頷く。
「…仕方ないな」
「おい、僕には散々帰れとか着いて来るなと言っていた癖に、どうして彼女には言わないんだ」
「自分の身を自分で守れるからだ。神の目を得て何年も経つのに未だに戦闘慣れしていない君と違って、サージュは既に氷元素の扱いを熟知している」
憤りを隠さない青年に、聞かされている少女が辟易してしまう程の辛辣な口振りで責めるアルハイゼン。
だが青年には青年なりの言い分があるらしく、彼は反論の証左として自身の"鞄"を男の前に突き出してみせる。
「なっ…! 僕だって今はメラックがいる、自衛くらいどうということはない!」
誇らしげに見せびらかされた鞄に興味を示すのは、同居人ではなくその横に立つ少女の方で。
カーヴェはそれでも構わないと声を上げ、自らが創り上げた相棒についての仔細を語り始めた。
「鞄? あ、顔がついてる…へぇ、ただの鞄じゃないんだ」
「ああ。荷物の収納は勿論のこと、僕の助手として測量や戦闘補助の役目を担ってくれている」
無言で先へ進む男からはぐれてしまわぬように注意を向けつつ、少女は先輩の教義に耳を傾ける。
「それだけじゃないぞ、メラックはある程度の意思疎通も出来るんだ。ほら、彼女に挨拶してみてくれ」
そう告げて彼は鞄から手を離すと、それを合図とするかの如くメラックは自律状態へと移行し、その場に浮遊し始める。
そして主人である青年の命令に従って、中央モニタの表情を変化させ、元気一杯にサージュへと笑みを見せるのだった。
『ピッポ!』
「あははっ、可愛いなぁ…ワンちゃんみたい。私はサージュ、よろしくね」
小さく手を振って、少女は浮遊する機械生命へと挨拶を返す。その動きの愛らしさに、まるで愛玩犬のようだと釣られて笑みを浮かべる。
「…」
ふと、彼らは先行していた足音が止まっていたことに気付く。続く道の先を見遣ると、男は壁に書かれた文字を見て何やら考え込んでいるらしく、眉間にいくつもの皺を寄せていた。
やがて男の元へと追い付いた少女が不思議そうに首を傾げて訊ねると、彼は深い嘆息と共に壁面の文章を要約して二人にそれを説く。
「ん? どうかしたのアルハイゼン」
「この先へ進むには、キングデシェレト文明に関連する厄介な仕掛けを解く必要があるようだ」
古代文字がびっしりと書かれた壁の横に置かれた台座を指して、男は居候と彼の相棒に目を向ける。
「カーヴェ、君が泣け無しの財産を注ぎ込んで創ったその鞄が本当に役に立つかどうか…お手並み拝見と行こう」
「随分と仰々しい言い方をしているが…要は、メラックにならこの扉が開けられるってことだろう? それなら任せてくれ」
意気揚々と頷き、カーヴェは相棒と共に台座を調べ始める。暫くの間考え込んでいたようだが、やがてギミックの解読に成功し装置を起動させる。
轟々と大きな音を立てて壁が動き、続く道を切り開く。今三人が立っている地点よりも更に暗所であるその先に待つものが何か、男は密かに期待に胸を馳せていた。
「…っと、ほら。開いたぞ」
「ほう。流石にキングデシェレト文明の遺物を使っているだけはある、これくらいの仕掛けは難無く解けるようだな」
「え、それってそんな凄いものだったの? あぁでもそっか、挙動がプライマル構造体とかと似てるもんね…」
メラックを見て、砂漠を徘徊する古の機械生命体との類似を感じ取り、成程と納得する様子の少女。
気を良くした青年は更なる先輩風を吹かせ、いかにこの多機能型収納ケースが優れた代物であるかを知らしめる。
「メラックはそこいらにいる普通の機械生命体とは一味違う。ある程度までの重さのものなら、僕がいちいち命令せずとも浮かせられる」
そう言いながら進む最中、メラックが道を阻む瓦礫に光を照射すると、それらはふわりと宙へ浮かび脇へと運ばれる。
そして除けられた瓦礫によって塞き止められていたらしい噴射口が開かれ、床には水が滴っていく。
幸いにも水はそう多く残っていたわけではないらしく、足元が多少湿りを帯びる程度で殆ど被害は皆無と言ってよかった。
自らの意思で主やその同行者に役立つ行動を実践することの出来る自立式鞄の優秀さに、少女の口からは再び感嘆が零れ出る。
「おぉー、便利だねぇ…掃除する時とか楽そう」
「サージュ。雑談は後だ、そいつの同類が俺達の後をつけてきている」
「勝手に同類にするな!」
アルハイゼンが徐に二人の話を遮って振り返り、退路を絶つように自分達の背後に迫る機械生命の群れを指す。
心を持たず、何百年と過去の命令に従って侵入者の排除という役割を果たさんと動く彼らを前に、青年は自分の相棒はそのような悲しき遺物ではないと吼える。
一方で少女は既に臨戦態勢に入っており、どの機械生命体から損傷を与えていくべきか思慮を巡らせる。
「…数はそこそこ多いけど、半分はアルハイゼンが倒してくれるでしょ?」
「そうだな。残り四割を君に頼みたい、カーヴェは出来て精々一割程度だろう」
長年傍でその実力を見てきたサージュにとって、男が持つ戦闘力は自分以上であると確信しており、遺跡ロボット処理の半数を彼に一任する。
本人も一切反論することなくすぐに承知し、残った半分を二人で分担させようと内訳を口にするが、過小評価された青年が反抗心を露わにして腕を腰に宛てる。
「僕を甘く見ないでくれ。幸いここはメラックのお陰で水が充満しているから、僕の草元素と周囲の水元素で開花反応を起こせば、君達と同じくらいの数を倒せる」
そう言って水浸しになった床を指し、眼前の敵がどんどんと湿潤していっていることを二人に認識させる。
草元素はテイワットを支配する七つの元素の中でも特に、他元素との反応とそれによって起こり得る結果を熟知していることが重要な元素である。
カーヴェは、環境を用いた水元素との開花反応を駆使すれば、少女達と肩を並べて戦うことも不可能ではないと断言するのだった。
「それなら援護は私に任せて。凍らせれば全部まとめて動きを止められるから、二人が戦いやすくなると思う」
自信ありげに意気込む青年を見て、少女は今回の戦いでは彼に華を持たせようとサポートする役目を買って出ることを告げる。
幸いにも、彼女が持つ氷の元素力を生かす下地としても、水元素はこの上なく有用性が高いものとなる。
凍結反応を引き起こすことで機械生命達の猛攻を止めるのは勿論、更に彼らの開花反応で生成される草原核の爆発を避けられずに済むと、良いこと尽くめであった。
「サージュ、君の神の目は氷元素の力を持っているんだったな。確かに、凍らせることで厄介な攻撃を防げるのなら助かる…よっ!」
言いながら彼はメラックの内部に蓄積された草元素のエネルギーを開放し、若草色の波動を広げる。
検知範囲に捉えた敵の弱点を的確に叩き、少女が氷元素をぶつける隙を生み出し、それに合わせ彼女は手際よく機械生命達を凍らせ動きを止める。
その合間にも草原核は周囲に散らばり、連鎖反応を起こすが如く次々と爆発して敵を殲滅していく。
自分達が受ける被害は微々たるものであっても、甚大な量の種の生成による蓄積ダメージを嫌う男は、鬱屈とした表情で彼らの様子を眺める。
「…開花反応、か。正直俺は、草原核の爆発によるこの余波があまり好きではないんだが…ここでは他の元素を活用するのも難しい状況だ、致し方あるまい」
嘆息しつつも剣を構え、地中を潜ることで二人をすり抜けて自身に近寄ってきた遺跡殲滅者達に斬撃を当てる。
草元素を纏った斬撃は水を浴びた機械のボディにクリーンヒットし、元素反応によって草原核が生成される。
「チッ…」
追撃する刃の一閃によって出来上がっていく種が破裂する度に、その余波を受け掠り傷が増えてしまう。
爆発の範囲外に退避すべく後退するも、そうすると今度はサージュ達に被害が及ぶのではと危惧する。
その憂慮を知ってか知らずか、少女は徐に振り返って彼の身を案ずる。意外というべきか、彼女の表情には疲れも傷も一切なく、余裕が表れていた。
「アルハイゼン、大丈夫?」
「問題ない。しかし…君もカーヴェも、随分と元気そうだな」
メラックのサポートを伴ってとは言えども、草原核の爆発も物ともせず、軽々と大剣を振り回しながら戦う青年を見て、アルハイゼンは彼の戦闘能力を見縊っていたと認識を改める。
その一方で、サージュは自分が想像していた以上に細やかな傷が多い男の姿に、眉を下げて胸を痛める。
大切に想う相手である彼が傷つき苦しむ様をこれ以上見たくはないと、腰に提げている神の目をそっと握り締めた。
「どっちかと言うと、キミがダメージを負いすぎっていう方が正しいかな。ちょっと待ってて」
そう言って少女は祈りを込めるように両手を翳し、ベールを纏うような柔らかな感覚がカーヴェを含めた三人の身体を包み込む。
彼女が草神から賜ったと信じる神の目の恩恵は、攻めることだけでなく守りにも秀でており、"生きたい"と強く願った彼女に相応しい力を有していた。
今し方彼らに付与した能力は、岩元素の結晶反応とよく似たダメージ軽減効果を齎すことが出来るものだった。
「これでよし…と。怪我そのものを治すことは私には出来ないけど…この状態でなら、草原核が破裂したときの爆発や遺跡兵達の攻撃が痛くなくなる筈だよ」
「助かる」
手短に感謝を告げ、男は再び戦線に復帰する。傷は今も癒えていないものの不思議と身体は軽く、サージュが施した防護の影響が大きいことを実感していた。
「先輩、そっちはどう!?」
アルハイゼンとの会話を終え、少女は自分達が動けなかった間も持ちこたえていた青年の方へ向き直る。
序盤から全力を出し切って戦った所為か、微かに息切れしたように汗を滴らせて、彼は上空を悠々と飛び回る遺跡ハンターを指して眉を顰めていた。
「大体は片付いたが…あのデカブツが厄介だな。僕や君のリーチじゃ届かないところまで飛ばれてしまって、手の出しようがない」
「うーん、確かに。一応試してみようか…」
遺跡ハンターが発射する追尾砲を避けつつ、サージュは自身の手元に抱えていた法器を介して造り出した氷塊を空へ飛ばす。
しかし彼女も予想していた通り飛距離が全く足りず、狙いの外れた氷塊は虚しく地に落ち水面を凍らせる。
空中への敵に対する適応力が皆無な少女達を見て、男は二人を庇い立てるように前に出た。
「ならそいつは俺がやろう。君達は下がっていろ」
忙しく動き回る機兵に照準を定め、一瞬の隙を突いて大きく跳躍して迫る。そしてその鋼鉄を拳で叩き落とす。
撃ち落される形となった遺跡ハンターは凍結した床に打ち付けられてパーツが崩れ、そこに彼が剣を突き立てて着地する。
続けて連続して浴びせる斬撃に合わせるかのように草刃の雨が降り注ぎ、空の狩人を完全な機能停止に追い込む。
鍛え上げられた肉体美に恥じない力強さとしなやかさを併せ持つ剣舞に見惚れつつも、素直に称賛を口に出来ない青年は顔を背けて彼を揶揄する。
「ふん、流石にその筋肉は飾りじゃないんだな」
「当たり前だ。この程度、神の目がなくとも出来るようになっておいた方がいい」
「はぁ!? 流石に無理だろ! 馬鹿なこと言わないでくれ」
完膚なきまでに叩きのめした遺跡機兵達の残骸に囲まれる中で、そんな遣り取りを交わすルームメイト達。
少女は彼らの口論を横で聞きながら、僅かな口調の違いに彼らの学生時代との差異を感じてしまい、憧憬に胸が軋む。
「先へ進もう。急がないと日が暮れちゃうよ」
悲愴を振り払い、サージュが努めて明るい声で笑う。遺跡の守護者を排除したことで切り開かれた道を、彼女は我先にと進んでいく。
「あ、待ってくれサージュ! 一人では危険だ、僕も…」
「…宝箱、でいいんだよね」
最奥の小部屋、その中央には、宝箱にしか見えない何かがぽつんと置かれているのみであった。
罠が仕掛けられている可能性を考慮し一旦カーヴェを引き止めて、少女達は危険がないか周囲の様子を探る。
「元素視覚で見る限りは、何も怪しいところはなさそうだが」
「そうだねぇ、なら大丈夫ってことかなぁ…」
『ピッポ!』
男の判断に同意を示しつつ少女が一歩踏み出そうとして、寸でで耳障りな警鐘が鳴り響く。
一体どこからこの音がと二人が振り返ると、なんとメラックが危機を察知した音だったらしく、サージュへと警告を伝えようと上下に激しく揺れ動いていた。
「うわっ! どうしたんだ急に…この部屋がそんなに危険なのか?」
驚いた主が問い掛けると、メラックは浮遊する角度を変え、真っ暗な天井へと照射レーザーを向ける。
光線が放たれた先で遺跡のギミックが起動したと三人が認識した刹那、瞬きする間もなく鉄格子が轟音を立てて落ちてくる。
宝箱を前にした侵入者を捕らえる周到な罠に、アルハイゼンは少女の浅慮が大事に至らずに済んで良かったと安堵する。
「…ふむ。確かに、天井の確認はまだしていなかったな」
「ちょっとアルハイゼン、それじゃまるで私が先走って入ろうとしてたみたいに聞こえるんだけど」
「事実そうだろう。この機械が止めていなければ、君は今頃あの檻の中だ」
そう揶揄する男に、サージュが憤慨し拳を握り締める。自分が足を踏み出したのは男の判断を信じたからなのにと、憤懣に満ちた目で彼を睨む。
「な…っ! いや、いいや…やめとこ。ありがとうメラック、お陰で危ない目に遭わずに済んだよ」
しかしすぐに自省し非を認め平静を装い、少女はメラックに向き直り感謝の言葉を浴びせる。
それからその偉大な鞄の創造主である青年の瞳を見つめ、改めて彼にも謝意を述べるのだった。
「カーヴェ先輩もありがとう、今日は助けられてばっかりでごめん」
「謝ることはない。僕だって…君の援護があったからこそ、全力で戦えたんだ」
慌ただしく首を振って、胸の内に残る彼女の元素力の心地好さを反芻し破顔するカーヴェ。
目的の為には自らが傷付くことも厭わない彼にとって、その痛みを和らげる力は大きな助けとなっていた。
「それで、あの宝箱はどうする」
終わりの見えない褒め合いに痺れを切らした男が割って入り、堅牢な檻に囲われてしまった宝箱を指す。
「どうしようか。鍵があるわけもないし…やっぱり一番手っ取り早いのは壊すことだよね」
「うーむ…メラックを忍び込ませるには少し狭いか。しかしこれだけ優れた技術を前にして、壊すだなんてそんな野暮なことをするのもな…」
妙論派の学者としての血が騒ぎ、遺跡のギミックに対する敬意を抱いた青年が檻の破壊を躊躇してしまう。
しかしその突飛な発想が逆にアルハイゼンの琴線に触れたらしく、彼はかつての先輩の意志を打ち砕くかのように鉄格子を切り刻むのだった。
「ああっ!? 君って奴は…なんてことをするんだ!」
「この遺跡のギミック構造がどれだけ優れていようとも、今の俺達にとっては障害でしかない。それとも、君は設計を調べて満足して、宝を捨て置く気だったのか?」
「そんな訳ないだろ、勿論お宝にも興味はある。だがだからと言って、どうして他に方法を探そうともせず壊すなんて真似を…」
喧しく口論を始めた二人を横目に、少女はまた始まったと呆れることすらせず完全に無視して、無言で一人宝箱を開く。
中に入っていたものを見て、彼女の双眸が大きく見開かれる。それからすぐに宝箱を閉じて氷漬けにして、そこから飛び退いて身体を震わせた。
「サージュ、何が入っていた…」
壮絶な光景を目にしてしまった恐怖から、口許を押さえ首を振るサージュ。表面上は平静を装ってこそいたものの、瞳には動揺が隠しきれていなかった。
二人はその様子を見て、中身が余程凄惨な状態だったのだろうと顔を見合わせて頷き、それ以上の追及を控えることにする。
「…帰ろう。物質的な収穫がなかったのは残念だが、個人的には十分なデータも取れた。想定よりも有意義な旅だったと言えるだろう」
「ああ、最初はどうなることかと思ったが…案外悪くなかった」
「そうだね…私も、楽しかったよ」
そう告げて男は踵を返し、来た道を戻っていく。カーヴェもすんなりと同意して、のんびりとした歩みで同居人の後に続く。
一瞬だけ見えた表情から彼らの秘める喜悦を感じ取った少女が、今回の奇妙な縁によって得られたものの大きさを実感する。
今でこそ互いを友とさえ認めず、口論の絶えない間柄となってしまった二人が、かつて共に研鑽を積んでいた頃と同じ笑みを向け合う姿を、少女は自分のことのように嬉しいと思っていた。