6年生のお正月には、大人達はすっかり元通りに宴会をする様になっていた。

昔の様に2人きりではなく、小さな子供も増えてきているが、ずっとバスケットをやっていた2人は他の子供達の、輪から外れていた。

流川がいつもの通り、庭でバスケットをする。
仁美はその時はずっと流川を見ていた。
どんどん上手になる流川に嬉しくなったり、‥嫉妬したり、色々な感情はある。

縁側に座っている仁美に、流川はたまにパスを出す。
ボールを受け取ると、仁美は流川の側まで行き、シュートをする。
外れれば流川がリバウンドをとって、そのままシュートを決める。
そしてまた仁美にパスをし、仁美がシュートをする。

あんなに低くかったバスケットゴールは、もう高校の公式はどの高さになっていた。

自分のプレイをずっと見ている仁美に安心していたが、ボールを触る時の仁美の笑顔を見て、流川はやっぱりこの笑顔の仁美が見たいと思うのだった。

流川のその気持ちが、どんな物か分かったのは、中学校一年生の夏だった。

その時久しぶりに会った仁美は、ぐっと大人びて流川は初めて女の子を綺麗だと思った。

「‥楓また背が伸びたね」

そう言って笑った仁美を見て、流川は仁美が好きなのだと理解した。