キョロキョロしている内に、隣の楓が消えてしまった。
あんなに大きいのに、居なくなったのに気が付かなかった！
すぐに見つけたので大きな声で楓を呼んだ。
楓も気がついて戻って来てくれた。

置いていかれた不安を楓に八つ当たりしたら、楓が私の手を握ってそのまま歩きだした。
楓と手を繋ぐのはいつぶりだろう。
昔は花火大会に行ったら離れない様に、こうやって手を繋いでいた。

いつも繋いでいた手は、こんなにも大きかったっけ？
こんな少年を私は知らない。
そう思ったら急に恥ずかしくなって、楓にそう訴えた。
楓は余計に強く私の手を握る。

恥ずかしがっているのを気づかれたくなくて平然を装おうとするが、緊張で余計に胸がドキドキする。
楓にこんな気持ちになっているのは気付かれたく無かったが、ひたすら緊張に耐える事した出来なかった。

喉が乾いたと訴えたら、楓が振り返った。
私の顔を見て、赤くなっていると言った。
気付かれた私はバツが悪く、楓の手を投げ飛ばして飲み物を買いに行った。
楓から離れても胸の高鳴りは治らなかった。
逆にどんな顔して戻れば良いのだろうか。