部活が無くなっても、毎日先輩の事を考えていた。
今何しているのだろう。
我ながら気持ち悪い。

お母さんが楓が来たと、部屋に呼びに来た。
すぐに下に降りて楓を見つけた。
楓を見た瞬間、周りの時間が止まった様だった。

この前会った時より、また身長が伸びていて、面影はあるが、そこに居るのは庭でバスケを一緒にしていた少年より、ずっとたくましい男の子がそこに居た。

きっとあのままバスケを続けていても、もう一緒に出来る事は無かったのかもしれない。
そう思ったら、急に胸が痛くなった。
「楓、凄く身長伸びたね。」
そう言った私はどんな顔をして笑っているのだろう。

楓はついて早々に、庭に行きバスケを始めた。
私はいつもの様に楓のプレイを縁側で見ていた。
中学に入って、楓のプレイは幼さが無くなり、迫力も出てきていた。
まるで知らない人のプレイの様だった。

楓が上手くなればなるほど、苦しくなる。
置いていかないで楓、私もそこに連れて行って。
私が出来なくなったその位置からは何が見えるの？
楓1人でこうやってどんどん進んでいくんだね。