きっと仁美も。

仁美は返事はしなかったが、また大きな目に涙を溜めていた。
顔を覆い、また俯いてしまった。

そんな仁美を流川はずっと見守っていた。
その涙はさっきまでの涙と違うような気がした。

その日から流川は神奈川に帰ってから、バスケットをやっている時間が格段に長くなっていた。
ミニバスと幼少期からやっているチームの練習後も必ずボールが見えなくなるまで公園で練習していた。

毎日毎日流川に見かねた母親が迎えに来るまで練習している。

その後会う度に仁美の髪の毛は伸びていった。
小学校6年生になる頃には、お互いの容姿はすっかり変わっていた。
流川は会う度に身長が伸びていて、すでに170あった。

仁美はどんどんハーフの父親に似てきた。
長い髪は、益々栗色に輝き、目の色素も薄くなり見た目は日本人だが、どこか違うとすぐ分かる。

それでも変わらず、流川は仁美の家に来たらバスケットをやる。
一時期は母親に気を使って控えろと言われたが、流川は聞く耳を持たなかった。
バスケットボールを持っていかなかった方が仁美は傷付く。
流川には分かっていた。