周りに人が居てくれる様になり、嬉しかったが、常に人の反応を気にしながら接しているのは、正直疲れた。

入学からしばらくして、部活の紹介が朝の集会であった。
バスケは出来ないなら、いっそ帰宅部で良いかと思っていた。

それでもユニフォームを着て、部活を紹介してくれる運動部はキラキラ見えて、羨ましかった。
男子バスケ部の塊に、山道先輩が見えた。
何かパフォーマンスをしてくれるのか、内心ドキドキしながら見ていた。
山道先輩がバスケットボールを片手で持ち、思い切りジャンプしてリングに向かって跳んだ。

全身に衝撃が走った。
幼い頃楓と一緒に見た、お父さんのインターハイでのダンクシーン。
あの時の衝撃が蘇った様だった。

ボールはリングの手前に当たり、ダンクは成功しなかったが、しばらく胸のドキドキが止まらなかった。
人のプレイにドキドキしたのは、楓以外初めてだった。

この人のプレイを見てみたい。
そう強く思った。