彼の名前は、入学してすぐに耳に届いた。
『仙道彰』さん。
バスケ部のエースで、学校中の人気者だった。

小学校から来たばかりで、先輩という年上の人間が、芸能人の様に遠い存在の様だった。
あの長身で、彼はどんなプレーをするのだろう。
彼を目で追う事が、日常になっていた。

入学してから、1週間ほどで、人生初めての告白を受けた。
3年の先輩に呼び出された。
それだけで凄くドキドキして、言われた通りに先輩について行った。

すれ違う人が、みんなこちらを見ている様な、これから起こる事に好奇心の目で注目されている様だった。
凄く嫌だったのをおぼえている。
「すみません‥入学したばかりで‥」
どんな風に断ったかは、よく覚えていない。

教室に戻った時に、一斉に見られたが、声をかけてくれる子は居なかった。
告白なんて、まだ異質の出来事で、まだ誰も上手に消化出来なかった。

クラスの子に一線置かれて、私は焦った。
もっと仲良くなれる様に頑張らないと。
私は今まで以上に笑顔でいること、相手に不快な思いをさせない事を頑張った。
おかげで、周りに人がいてくれる様になった。