最後の言葉あたりでまた仁美が泣き出した。

流川は仁美がバスケットが出来なくなった事を理解して、ショックを受けた。

物心ついた時からずっと一緒にバスケットをしていた。
自分の半身の様だった。
ドリブルだって、シュートフォームだって、仁美を真似した。
色々思い出しながら、消化出来ないこの気持ちに苛立ち、流川は拳を強く握りしめていた。

「‥俺が仁美の分も強くなる‥」

流川はポツリと話した。
仁美は泣くのをやめら顔を上げて流川を見た。
流川も仁美の方を向き、今度ははっきりと言った。

「俺が仁美の分も強くなって、仁美をインターハイに連れて行く。」
　
ー高校生になったら一緒にこの舞台に行こうねー

それはいつも一緒にお父さんのビデオを見ている時の仁美の口癖だった。
2人でいつも一緒にビデオを見て、時にはお父さんも交えてバスケットをし、日が暮れるまで2人でボールを追いかけた日々が次々思い出されてくる。