今度はわざわざ綾子まで流川に驚いた様に近づいてきた。
「あの子がそれくれた子なの？」
綾子はリストバンドを指差しながら言った。
「‥うす。」
「あんたって面食いなのねぇ。」

面食い？まぁ否定はしなかった。
仁美は昔から可愛いらしかったが、本当に綺麗だと思ったのは中学に入ってからだ。

試合前なのに、他のチームそっちのけで流川の話題に飽きない部員達に、流川はひたすら無言で過ごした。
緊張してないのはよいが、集中してもらいたい。

結局、流川のチームは2回戦で負け、仁美のチームを残し、流川は神奈川に帰る事になった。
全国には強いチームが沢山いて、流川は帰ってからの日々をひたすら悔しさをバネに練習した。

仁美から電話がかかって来たのは、全国が終わり帰宅したであろう夜だった。
「お疲れ様、全国どうだった？」
「まぁ、いい経験出来たな。」

流川はその後仁美の報告をずっと聞いていた。
決勝で負けた事、悔しかったけど、全国の試合が見れて嬉しかった事。
一通り喋り終わると、仁美は急に無言になった。
流川は不思議に思い、問いかけようとしたその時に、仁美が喋り出した。