泣いている仁美の腕を引っ張って、土地勘のない道を歩いていた。

仁美はまだ泣き止まない。
流川は夏休みなるとお祭りのある神社へ向かった。
毎年行くため、ここら辺で唯一流川の知っている道だった。

石の階段を登り、鳥居をくぐると沢山の木が生い茂っていて、日陰が出来ていて夏の暑さを少し和らげていた。

少し先に祠があり、その前の石の階段に流川は仁美を座らせた。
仁美は顔を手で覆いながらまだ泣いていが、先ほどより勢いは止まっているようだ。

流川は少し安心して、そんな仁美の横に座る。
こんな時に声をかけれるほど、流川はコミュニケーション能力を持っていなかった。
ただ座りながら時間だけが過ぎていくのを待っていた。

その内仁美のしゃくり声が小さくなってきて、ポツリポツリと仁美が喋り始めた。

あの冬、流川に負けたのが凄く悔しかった事。
その後がむしゃらにいっぱい練習をしたと。
春先あたりに練習中急に膝が痛くなり倒れて、そのまま救急病院へ向かった。
スポーツによる膝の慢性障害だった。
プレイをすると膝が痛みバスケットが出来なくなってしまったと。