全国を前に、明らかに小野寺が調子を落とした。
何事かと聞いたら、ベンチ入りに勢いづいて、仁美に告白して振られたらしい。

大会前にチャレンジするなよと思ったが、本人は付き合えると思っていたらしい。
仁美もマネージャーなら大会終わるまでは答えを保留にしてあげたら良いのにと、仙道は小野寺に同情した。

仁美は誰となら付き合うのかと、憶測は立てられたが、仁美が誰か好きな人がいるのか、全然噂にはならなかった。

その後の全国大会では、流川の中学も来たと仁美から教えてもらった。
決勝まで行かなかったら当たらないらしい。
どんなものか顔だけでも見たかったが、中々見れる試合が無かった。

仙道のチームは決勝に進んだが、流川の中学がその前に負けた様だ。
決勝では当たらなかった。
その代わり、決勝の相手のチームにとんでもなく強いのがいた。

前半も後半も仙道は抑えられ、チームも負けた。
マンツーマンであんなにはっきり負けたのは生まれて初めてだった。
生意気そうなプレイの同級生だ。

決勝も終わり帰る用意をしていたら、ちょっと目を離した隙にまた仁美が声を掛けられていた。
あの生意気なプレイをした奴だ。
「仁美これ着てて。」
仙道は自分のジャージの上を仁美に羽織った。
そして目力で、目の前の男を追い払った。