2人はそのまま離れに向かった。
部屋の扉を開けると、小さい玄関があり、直ぐに六畳ほどの畳の部屋が2つほど続いていた。
小さい子供はここがおもちゃ部屋になっていた。

奥の部屋にはすでに布団がしいてあり、未学童が3人ほど寝ていた。
起きていたのは、小学生の兄弟でテレビゲームに夢中になってた。

仙道に気がつくと、1人の男の子が驚いた様子で話した。
「仁美の彼氏デカイな！やっぱりバスケしてんの？」
靴を脱いで中に入った仙道は、そうだよと笑いながら答えた。
彼氏という言葉はあえて否定しなかった。

寝ている部屋と、テレビの部屋の間に2人は座布団を引いて腰掛けた。
しばらくは元気良くテレビゲームをやっている兄弟を見ていた。

「‥何か話があったんじゃ無いんですか？」
話を切り出さない仙道に、仁美は流石に声を掛けた。
「ああ、別に何かあった訳じゃなくて、ただ単に話したかっただけ。」
あっけらかんと言った仙道に、もしかしたら凄い悩みかもしれないと思っていた仁美は呆れて口が空いたままだった。

冷静に考えたら、凄い悩みを自分ごときに仙道が相談するはず無いと気持ちの整理を付けた。
仙道は何が楽しいのか、鼻歌を歌いながら、兄弟だ大声で遊んでいる風景を見ていた。
ーこの横顔はよく見るな。