本家の仁美の家に同居しているおばあちゃんが亡くなったのは、学園祭の3日前だった。
土曜日の学園祭はお葬式になる為、仁美はその日から学校を休んだ。

家で倒れてから、仁美達の家族はずっと病院で付き添ったみたいだったが、救急車の中ですでに息を引き取っていた為、蘇生する事なくそのまま亡くなった。

流川の家に訃報が届いたのは、次の日の朝からだった。
流川は母親から聞いた。
流川は初めて仁美の家に行った時の事を思い出していた。

流川と仁美は従兄弟同士になるが、流川は母親の連子の為、仁美とは血が繋がっていなかった。
仁美の家は古い家で、本家と呼ばれるそこで集まる親戚達は、後妻の母親と流川をよく思っていなかった。
特に父親は変わり者で、上條の姓を捨てて、流川と名乗っているから余計である。

仁美の家族と、唯一おばあちゃんだけは流川を優しく迎えてくれた。
何かされた訳ではないが、他の大人はよそよそしかったが、おばあちゃんは仁美と同じように流川を扱ってくれた。

おばあちゃんなら思い出がどんどん思い出されたく。
たくさん怒られたはずなのに、思い出すのはいつもの優しい笑顔だけだった。
仁美の家に着くと、まずはおばあちゃんに挨拶に行った。
おばあちゃんはとても綺麗な顔をしていて、苦しまなかった事に流川は安堵した。