この1ヶ月泣いてばかりの毎日だった。
人生で1番辛かったかもしれない。
だけど、嗚呼、愛おしいな。
あんなに辛い思いをさせられた相手なのに逢いたいと思い、目の前に現れたら愛しくてどうしようもない。

ずっと苦しかった。
思い出せば呼吸が出来ないくらい胸が痛くなった。
ただ胸の痛みに耐え、時間が過ぎるのを待つだけの苦痛の毎日だった。
その痛みに耐えて、いつか思い出になりこの痛みが癒えることを信じて過ごしすか無かった。

先輩を見て思った。
仁美を見て気が付いた。

辛かったのはー。
胸が痛んでいたのはー。
あの時思いを叫ばずに離れてしまったからだ。
本当はずっとずっと言いたい事があったんだ。

それは同時だった。
仁美の体が前に傾くと同時に、仙道も仁美に向かって走った。
仙道が仁美の手に届き、手を握るとそのまま自分に抱き寄せる。

仙道の背中に腕を回して、久しぶりに嗅いだ仙道の匂いを吸い込んだら、涙が止まらなく出てきた。
「っせっ‥ぱ」
仙道を呼びたいのに、涙と嗚咽で上手く言葉が出ない。

仁美の精一杯の声が聞こえると、仙道は目をつぶり、強く抱きしめる。
もう2度と離したくない。
情けないな、感情が強すぎて唇が震えて、それを抑えようとすると自分も涙が出そうになる。