いつも楓は私が言おうとする事を、想いを分かってしまう。
それは楓がいつも私を気にかけてくれ、守ってくれてきたからだと分かっている。

何度も何度も楓を好きだと思った。
このまま楓の側で過ごしていく毎日はきっと、幸せな日常だ。

それでも何度でも引き戻されてしまう。
打ち上げ花火の様に、強烈に光り輝くあの先輩との毎日に。
彼だけが、私にとってキラキラ光る恋だった。

「‥楓‥大好きだよ。」
「‥まぁ‥知ってる。」
その大好きは幼なじみでは無く、1人の男子としてと言う意味なのだが、敢えてその事は言わなかった。
軽く応えた流川だが、きっと分かっててそう答えたのだろう。

「楓。行くね。」
その言葉はさっきのごめんより胸に突き刺さる。
今度こそちゃんと突き放してあげなければならないから。
「‥戻って来ても、もう俺は居ないよ。」

はっきりと、けど優しく流川は仁美に伝える。
それはとても怖いけど、大丈夫だ。
もうこの手を離れて、進んでいく道を決めたんだ。