ー確信犯じゃねぇか。
仁美にとってあたりの良い位置にいて、気が付いたら奪っていく。
あの流川が側に居るから、仁美はあの時仙道に選ばせたのだ。

流川がそうな様に、仙道にも全力で奪って貰いたかったのだろう。
イライラする。
ずっと自分は流川と比べられていたのだろうか。

そう思えたら、今まで築いてきた関係が崩れた様な気がして、幸せだった時間が裏切られた気がした。
ずっと笑顔でいてくれた仁美の顔が思い出せない。

ずっと黙り込んで座っている仙道に真帆はため息を付いた。
「‥湘北があの山王を倒したらしいね。ネットニュースに出てた。」
仙道は少し反応した。

仙道もそのニュースは見た。
山王にはあの沢北も居たらしい。
すぐに会えるなんて、やっぱり流川はバスケの何かがついている様だ。

「‥よし、部活行こ。」
仙道はずっと座っている事に飽きたのか、そう言って立ち上がる。
真帆も一緒に立ち上がり仙道の後ろを歩いていく。
「仙道、お盆休みどうするの？」

気晴らしに遊びに行こうかと、部活の休みの予定を聞いてみる。
「‥しばらく帰ってないから実家帰るわ。」
真帆の意図を察して、仙道はやんわり断った。
今は人と居るより、ゆっくり時間をすごしたかった。