そう言えて少しすっきりした。
今も決勝リーグも自分は流川には負けていない。
「インターハイが終わったら仁美と一緒にアメリカに行く。」
鞄を肩にかけ、その場から離れようとする仙道に向かって流川は言った。

一瞬仙道の体が止まった様な気がしたが、仙道はそのまま公園を出る。
わざわざ会いに来たのだから、バスケの事だけでは無いとは思っていた。

流川がアメリカに行くのは、バスケがやりたいからだろう。
仁美を連れていくと言うのは、向こうにいる仁美の家に世話になると言うことなのだろう。

物理的に無理な話では無い。
行動力さえあれば可能な話だ。
そして流川はバスケに関しても仁美に関してもその行動力は持っていた。

ずっと流川のその情熱を他人事の様に見ていた。
自分はバスケも仁美にもそんな風に考えたり動いたり出来ない。
今、自分がアメリカに行くなら、行く選択は仁美に任せるだろう。
連れて行く前提で動いたりしない。

だからずっと流川が仁美の側に居るのが気に入らなかった。
流川のバスケのプレイそのものだ、随分下にいたと思ったら、虎視眈々と仙道の座を狙っている。