「仙道‥ご飯食べれてる？」
真っ青になった仙道の顔を真帆が覗き込む。
仙道は自分が冷や汗をかいているのを感じる。
想像しただけで気分が悪くなる。

真っ青になっている仙道を見ながら、これはかなり重症だと真帆は感じた。
あの時目の前の2人を見ているのが耐えられなくて、早くその場から離れたくてすがる仁美の手を取る事なんて出来なかった。

仁美の後ろに居た流川はいつもの無表情で、真っ直ぐこちらを見ていた。
湘北が陵南に勝っただけだ、仙道が流川に負けた訳ではない。
そんな事は流川も分かってらだろうに、堂々と仁美を迎えに来た。

あの仁美に対してブレない意志に、何でこちらが負けた様な気にならなければならなかったのか。
流川の目に映る自分がこれ以上無様にならない様に感情を出さずに立っている事があの時はやっとだった。

ー先輩の気持ちは？
泣きながら聞いて来た仁美を思い出す。
「‥言わなきゃ分からないのかよ。」
仙道は小さい声で呟いた。
「え？」
真帆はその声に仙道の方を向くが、それ以上仙道は何も言わなかった。

ずっと仙道のプレイを横で見ていてくれた。
仙道がこの地位と天才と呼ばれてその実力を守る事にどれほどのプライドを持ってやっているよか、仁美は十分分かってたはずだ。