ーインターハイが終わったら、仁美とアメリカに行く。

今日もあの日の流川の言葉で朝が始まる。
そう流川に言われた時の焦りと何も出来ない苛立ちで握った拳の感触で夢から覚める。
あの日から何回見た夢なんだろう。

夢と分かると握った拳を静かに開く。
しかし生々しい感情はしばらく消える事は無い。
あの日からすぐに湘北高校はインターハイへ行ったらしい。
仁美が一緒に行ったかは誰からも聞いていない。

陵南は仙道がキャプテンで新チームでのスタートを切った。
しかし未だ仙道は部活に集中出来ないでいた。
顔を洗いに洗面台に向かう。
鏡に映った自分が荒んだ顔をしている。
ーまいったな。

自分で決めた結末なのに、未だに気持ちが前に進まなかった。
決勝リーグで負けたあの時どうする事が正解だったのか仙道は答えを出せない。
だけど手放す事しかあの時は出来なかった。

誰の為に？
何度もそう問いかけても答えは返ってこない。