流川はバスケをするのをやめて、仁美の隣に座る。
「‥インターハイ凄く活躍したんだってね。晴子ちゃんがいっぱい教えてくれたよ。」
「‥結局、仁美と行けなかったなインターハイ‥」
流川がそう言うと、仁美は俯きながら小さくそうだね、と呟いた。

昔交わした2人の約束は守られる事なく、この夏は終わった。
それでも流川はそれで良かったのだろと思った。
やっと2人ともこの長かった約束から解放された様な気がした。

本当は何処かでこの関係を清算したかった。
新しい関係になったら、他に2人の関係が作れる様な気がした。
それでもその関係はやっぱり、仁美の側で仁美の笑顔を見たいんだ。

「楓、アメリカに行くの？」
仁美が流川の方を見て真面目な顔で聞いた。
流川はボールを持て余していた手を止めて、同じ様に仁美に向き合った。
「行くよ、仁美と。」
真っ直ぐ見つめてくる流川の目は、いつも見守られてる目だった。

仁美はいつもこの目に見守られていたなと流川を見ながら思い返す。
「‥インターハイ行く前に仙道に会って来た。」
ポツリと言った仙道の名前に胸が一瞬高鳴る。
会ったと言う言葉をやっと頭が理解出来て、仁美は流川を見た。