夏休みが明け、仁美は一通り流川との噂の否定に付き合った。
部活で会う仁美にストレスがかかっていたのは仙道でも見て分かった。

自分で撒いた種なので、山道はフォローはしなかった。
むしろ懲りて軽率な行動をしないでもらいたいものだ。

季節は秋に移り変わり、体育祭の時期になっていた。
仙道は放課後の3年の教室で、紅組の応援団の集まりに参加していた。

仙道が同級生と集まっていると、一年生の集団が入ってきた。
その中に仁美がいた。
他の男子は仁美が入って来たらどよめいていた。
勿論仙道は、仁美が応援団をやるとリサーチ済みでここにいるのだ。

仁美は仙道を見つけると笑顔になり、片手を上げた。
仙道は微笑みながら、仁美を手招きした。
入る場所も困っていたので、仁美と数名の友達は仙道達のグループに入っていった。
ガッチリ仁美の隣をキープするのだった。

仁美を見てわかる事は、警戒心がなさ過ぎる。
周りにすぐ男子が居るので、番犬の様に仙道は見張るつもりなのだ。
尚且つ自分も仁美と一緒にいたい、一石二鳥の応援団なのである。

仙道の思惑通り、仁美と一緒に入ってきた1年の男子は仙道達先輩のグループには入れなかった。
‥小野寺を除いては。

仁美が入って来て、面白くないのは仙道を狙っている洋子だった。
彼女もまた、安定に仙道の横をキープしている。
敏感な人間からしたら三角関係の図が見て取れる。