それでもきっと今と同じ顔をしていたと流川は思った。
仁美を見ながら流川はもう絶対に仁美の前で下を向かないと誓う。
そして自転車に乗り、そのまま走り去った。

そんな流川を見送りながら、仁美は静かに笑った。
あの調子なら負けを引きずらなさそうだ。
流川が試合に負けたのを実際に見たのは、陵南戦と今日の試合だけだ。

仙道は中学時代から負ける試合も沢山見てきた。
なのに今となっては、仙道の負ける姿の方が想像が付かない。
流川と仙道を比べなかったと言えば嘘になる。
仁美の想像の中ではいつも仙道の方が流川より上回っていた。

だから今日は海南に負けた事が仁美にはキツかった。
湘北は陵南に負けると思っていたから。
それでも今の流川の様子なら残りの試合を万全の状態で挑んでくるだろう。

この時まで自分から離れるのは流川だと、仁美はそう思っていた。