いつもの公園に行くのに仁美のマンションの前を通る。
流川は思わず仁美の部屋の電気を確認してしまう。
電気は付いていた、どうやら帰って来ている様だ。

その後は無心で練習をした。
牧に止められた場面を思い出し、何度も何度もダンクを決める。
どんなに疲れても、今日退場した悔しさが和らがなかった。

ーちくしょう！
何度もその気持ちを思い出しては、その気持ちをボールとゴールに向ける。
もう腕も上がらなくなって、流川はやっと動きを止めた。

肩で息を整えて、しばらく転がっているボールを拾えずにぼーっと見ていた。
ー絶対、全国に行ってやる！
再度その気持ちを込めてボールをゴールに叩きつけた。

練習の帰り同じ様に仁美のマンションの前を通ると、流川は自転車を止めた。
見上げた仁美のベランダに仁美が立っていた。
流川を待っていたかの様に、仁美は流川に驚きもせず見ていた。

きっと待っていたのだろう。
ああそうだあの試合の最後、仁美はどんな顔をしていたのだろうか。
流川は仁美が思い出さない事を、自分がずっと下を向いていた事を思い出す。