まぐれでもいいから決めろ！
花道の声が仁美に届く。
流川は最後の力を振り絞ってドリブルし、清田の上からダンクを決めた。

残り1分20秒4点差だ。
流川はそのまま床に倒れ込み、レフリータイムの上、無念の交代となった。
流川が退場する時に小さな拍手がまばらで聞こえた。

ベンチに座っている流川が悔しそうに肩を震わせて居るのが仁美に見えた。
何度この悔しさを乗り越えてきたのだろう。
その度に流川は強くなっていった。

ー凄く立派だった、誇っていい。
今まで見たプレイヤーの中で楓が1番のプレイヤーだよ。
仁美は流川を見ながら心の中で伝える。

チームへの勝利も個人での勝利も、その為の練習量も、流川ほど貪欲に日々練習している人は仁美は見た事が無い。
この歓声を受けて当たり前のプレイヤーなのだ。
この退場は悔しいけど、立派なプレイだった。

試合に勝つには、リバウンドで勝たなくてはならない。
勝利のカギは赤木と花道へ託された。

相手に取られたリバウンドをリョータが下から狙い、オフェンスのチャンスを作る。
ボールを持った花道はフェイクを入れゴール下へ切り込み、高く飛び上がる。

またもや花道のダンクの前に牧が立ちはたがる。
それでも花道は力強く牧を吹き飛ばしてダンクを決める。
大勢の声援を後押しに。