その仁美の表情を見ながら仙道は中学時代の仁美を思い浮かべていた。
一緒のチームで苦楽を共にしていた時でも仁美
はこんな表情を見せてくれた事はあっただろうか。

都大会で負けた涙、一緒に全国に行った喜びの涙。
それでも今日の表情の様な仁美は見た事が無かった。

そんな顔を自分意外に見せるのはもはや裏切りの様に思える。
流川と仁美が一緒に居るのをみると、いつもこの気持ちになる。
裏切られたと思うのだ。

実際は何も無い。
だだ幼なじみを応援しているのだろう。
なのに何故こんなに虚しい気持ちになるのだろうか。
そんな思いをさせる仁美を裏切りとさえ思う。

ーどうかもうこれ以上、その表情を俺以外の男に見せにいでくれ。
仙道が2人を見て思う事は、だだ１つだった。

ハーフタイムが終わり、赤木が戻ってきた。
ジャンプボールは花道が代わりにボールを奪う。
赤木は怪我を気にしながらも気迫でゴールを決める。
この試合に対する赤木の思いが込められている様なゴールだった。