タイムアウトが終わり、すぐに牧のゴールが決まる。
盛り上がる海南勢だが、たった1人の1年にやられてたまるかという言葉が仙道の耳に入る。
仙道はそれが流川と察した。

そしてそれを裏付ける様に、流川にボールが渡っただけで会場の声援が凄かった。
流川がボールを取り、牧がそれを迎える。
ー絶対勝つ！
牧を前に強い意志を見せる流川。

牧は流川のダンクに合わせて飛ぶ。
今日は一度牧にダンクを止められていた。
流川は一度空中でフェイクを入れて牧を交わす。
そしてそのままダンクを決めるのだった。

まだルーキーのスーパープレイだった。
その超高校級のプレイに会場はまたしても怒涛の歓声を上げた。

そして前半が終了し、休憩に入る。
かなり肩で息をしている流川を見送り、仁美は先程のスーパープレイを思い出す。
中学の時は、どんどん上手くなる流川に嫉妬し、仙道にはそのプレイに夢を見れた。

置いていかないでと願うには、もう雲台の差が付いていた。
今初めて仁美は流川のプレイを嫉妬の気持ちもなく凄いと思えた。
そしてその成長を嬉しく思えた。

そう思えた瞬間、目頭が熱くなり我慢しなければ泣いてしまいそうだ。
ー俺が仁美の代わりに強くなる。
そう言ってくれた幼い頃の流川。
もちろんその為だけに流川は練習を重ね今に至った訳ではない。

それでもあの時の約束はもう十分叶えてくれたと思えるくらいに胸が熱くなる。
ー凄いね楓、海南と渡り会える位成長したんだね。
仁美はやっぱり嬉しくて少し出た涙をそっと拭った。