試合の後半でもジャンプ力が衰えず、飛び上がる花道に仁美は目を奪われた。
このジャンプ力とスタミナは花道の大きな武器だった。
素人というハンデを自身の運動能力でカバーしている。
しかも尋常ではない運動能力である。

今チームの流れを作っているのは間違いなく花道のﾘﾊﾞｳﾝﾄﾞだった。
そこまで大きくない体で、花形にも負けないスクリーンアウトをとってくる。
花道の奪ったﾘﾊﾞｳﾝﾄﾞを取ろうと、下から藤間が狙ってくる。
花道はそれをかわそうとして、その肘が花形に当たってしまった。

花道が４ファールになった瞬間だった。
会場がざわつく。
花形は流血はしていたが、ゲーム続行に支障はないみたいだ。

４ファールとなった花道が、今までの様にプレイが出来なくなり、再び翔陽に点を許す湘北だ。
しかし、バテていた三井が３Pを決め、湘北がまた流れをもっていく。
点差は離れるどころか、三井の連続３Pのおかげで縮んでいく。

そして速攻からの流川のダンクで湘北が追いついた。
そんな流川に触発され、花道もまた復活する。
花道のﾘﾊﾞｳﾝﾄﾞから流川のゴールで湘北が逆転する。
息をするのも忘れる位、仁美は試合に見入った。
会場の歓声が大きくて、自分が声をだしているかどうかも分からない位だ。

三井は退場したが、湘北の勢いは止まらなかった。
花道が速攻に走り、それを花形が迎える。
花道はそのまま飛び上がり、ボールをゴールに叩きつけた。
花道のダンクが決まったと思ったが、笛が鳴り花道にファールが言い渡される。
そして５ファールで退場になった。