乗る電車は別なので、改札で仙道と別れる。
仙道は仁美が見えなくなるまで見送った。
振り返り、仙道が見えなくなったのを確認した。
先ほどまで目の前にいた仙道を思い浮かべる。

ずっと自分の気持ちは決まっている。
本当はそれを伝えたいのに2人の決着がつく前に答えを出しても意味が無いのかもしれない。
ちゃんと結果を見届けた後の仁美の回答が2人共欲しいのだろう。

もし結果が思っている未来と違っていたら、自分の答えは変わるのだろうか。
きっと変わらないと思っても、今まで大切にしてくれた2人の気持ちに添いたかった。
仁美は揺れる電車に身を任せながら、ゆっくり目を閉じた。

そして大切な人を思い浮かべた。

週末までのシード戦まで、湘北は毎日試合があった。
仁美は仙道に言った通り、あの日以来試合は見に行っていなかった。
翔陽戦までは負けないだろうという確信もあった。

前回の神奈川ベスト2の翔陽との試合が明日になった。
先に湘北が試合をし、その後陵南の試合がある。
同じ会場であるのがありがたい。
流石に明日の翔陽戦には仁美も今からドキドキしていた。

教室の窓から屋上に流川が居るのが見えた。
仁美は屋上に他に誰も居ないのを確認して向かった。