「安田先輩！声出して！」
チームメイキングをする安田に思わず仁美は声をかけた。
仁美の掛け声と一緒に陵南メンバーも怒涛の掛け声を出す。

なかなか出そうもない流川に、仙道は席を立って飲み物を買いに行った。
仁美にもいるか聞くが、もう応援に夢中になっていて大丈夫とだけ答える。
陵南メンバーも仁美も夢中になって声を出していた。

流石にこれ以上離されては逆転は難しいという場面で、湘北高校のベンチが動いた。
やっと流川達が出て来る様だった。
流川の出番に仁美は安堵する。
「楓！頑張って！」
もうこの時には仙道の事は気にしないで湘北高校の応援をしていた。

仁美の声に流川が気がつくと、少し仁美の方を向き仁美に応える素振りをする。
赤木以外のメンバーチェンジで会場の雰囲気が一気に変わった。
仕掛けたのは宮城で、宮城のゲームメイキングで一気に湘北の得意の早い攻撃が展開される。

湘北高校には点を取れるメンバーが沢山いる。
ポイントガードにとってこれほど頼もしいメンバーは居ないだろう。
特に予選位ではゴール下の赤木を止められる選手はそうそういない。

赤木を中心に中、外、中の攻撃が湘北高校の得意の攻撃パターンだ。
外を警戒させるための重要人物は三井であった。
三井の飛び道具であるスリーポイントは綺麗な弧をかいてゴールの中に吸い込まれるようだ。