花火大会の日、約束の時間に仙道はグループと合流した。
男女4人のグループの中で、仙道は一際目立っていた。
高身長のイケメンは、すれ違う女の子達から好機の目で見られる。
本人は至って気にしていないが。

グループの女子も明らかに仙道狙いの子もいて、ソワソワとしている。
大体お行儀良く交わしている仙道だが、グイグイくる女子も居る、この佐々木洋子だった。
彼女は合流してから、明らかに仙道の横をキープする。

顔は可愛らしいが、仙道のタイプでは無い。
仙道はいつも当たり障りなくお相手する。
特に仁美が好きだと気が付いてからは、こういうタイプの相手が面倒くさいと思ってしまう事もある。

花火会場までの道のりはすごく混んでいて、屋台によるだけでも大変だった。
人混みに紛れて、隣の洋子がぴったり仙道に寄り添っているのはわざとだろう。

「うわっ！嘘だろ！」
そんな時同じグループの山寺が声を上げた。
仙道は山寺の目線の先を辿った。
その先には仁美と‥人より大きい男が一緒に歩いていた。

驚くべきは、仁美はその男としっかり手を握っていた。
仙道の心臓がギュッと握られた様に痛くなった。