その日はいつもより早く仁美は起きていた。
陵南高校はシード校なので予選最後の日まで試合は無いが、湘北高校一回戦から試合がある。
仁美は昨日仙道に送ったLINEが既読になっているのを確認した。

あれから仁美からは毎日連絡しているが仙道からLINEが帰っては来なかった。
その事に関しては夏の大会前で練習に集中しているのだとたいして気にはならなかった。
流川も仁美が部活に見に行かない限り会う事も話す事も無かった。

大会前に2人に言われた言葉を思い出す。
そして深呼吸をして仁美は湘北高校の試合を見に行くために、家を出た。

平日に予選がある為、仁美は午前中は試合を見に行き、午後には学校に戻る予定だ。
担任には申請したが、もちろんいい顔はされなかったが、無理やり押し通した。
これで内申が変わる様な生活は普段からしていない。

電車に乗る前に仙道に今から湘北高校の試合を見に行くとLINEを送る。
しばらくしても既読にはならないので仁美はスマホを鞄にしまい、目線を上げた。

ホームに降りてくる階段から流川が現れるのが見えた。
流川も仁美に気が付いた様だ。
そのままこっちに向かってくる流川を仁美はずっと見ていた。

「‥おはよう、調子はどう？」
「ん‥悪くない。」
少し眠たそうに流川は言った。