マンションの植木に腰掛けていた流川が、仁美を確認して立ち上がる。
仁美はそんな流川を見ながらぼんやり考えていた。
流川に会えばどんなに辛くても安心感で幸せな気分になれる。

いつから流川を好きになったのだろうか。
初めから好きだったのか、やっぱり最近の様な。
仙道を好きになった時の様な衝撃は無かった。
ずっと側にして、気が付いたらいつも隣に居て、当たり前の様な毎日で気が付いたら好きになっていた。

これか行われるのは、2人の関係の精算だろう。

「‥仙道と会ってきた。」
先ほどまで、自分も会っていたので、仁美は驚いた。
そんな事仙道は一言も言っていなかったから。

「県予選で山道を倒してインターハイに仁美を連れて行く。」
「俺か仙道か、これが最後だ。もう一度選んで欲しい。」
そう流川に言われて、先ほど仙道に言われた意味がやっと分かった。

2人でそう決めたんだ。
2人は負けた方が引き下がる気でいるのだろう。
「‥仁美が自分の意思を無視されて、物事が進んでいくのを嫌がるのは分かる。」
仁美の納得いかない顔を見ながら流川は言った。
「だけど、俺も仙道も、もうこうでしか気持ちの決着が付かない。」

バスケも仁美も欲しいと、流川は言った。
仙道も同じだと。