仁美からの着信を見て、そのままスマホを持っている腕を力なくベッドに置いた。
今この電話には到底出れなかった。
そのまま自分もベッドに横になり、先程の光景を思い出す。

別にドラマの様に抱き合っていたりキスしていたりの場面に出会したわけではない、ただ一緒に居ただけだった。
それなのに2人を見た瞬間、今までに無い感情が溢れ出て来た。

2人の得体の知れない関係が余計不安にさせる。
聞けば良かったのか、そして理解してあげたら良かったのか。
仁美の側に自分以外の男が居るだけで耐えられないのに、あの関係を理解なんて到底無理だ。

あの時仁美に腹が立った理由は明確だった。
流川がどんな奴かなんて知らないしどうでもいい。
あの時仁美が言い訳をしてくれてたら納得出来たんだ。

ずっと仁美の事を見てきた。
顔を見れば何を考えているか手に取る様に分かる。
仁美は仙道に嘘は付かない、いつも真っ直ぐだ。
なのに、自分の時は何も言い訳せずに、流川に矛先を向けた途端入ってきた。

ああ、分かっている。
仁美は自分の為に言い訳なんてしない。