何回傷付いたらやめられるのだろう。
自分が辛くなるだけなのに、それでもここに来てしまう。
流川はスマホをポケットに入れてまた自転車に手をかける。

「楓？」
後ろから仁美の声がして流川は驚いて振り返る。
そこにはコンビニの帰りの仁美が立っていた。
「どうしたの？‥」
言いかけてこちらを向いた流川の顔を見て、何故流川がここに居るのか理解した。

「夜に出歩くなどあほう。」
ムッとした顔で言われる。
「‥楓、あれから毎日来てたの？」
「‥毎日では無い。」
母親にも言われているからと流川はボソッと言った。

何度流川の事で胸が締め付けられただろう。
こんなにも自分を大切にしてくれる人に、何度傷付く言葉を言わなければいけないのか。
「‥大丈夫だから‥。」
仁美の顔を見て、流川が諭す。
その言葉で自分が、今どんな顔をしているか分かる。

「直ぐには無理だけど、分かってる。」
仁美が何を言おうとしているか流川には分かっていた。
もうこれ以上思っていても、気持ちが重なることは無いのだ。