「それでいいの？」
仁美の表情が寂しそうに見えたので、水戸はそう聞いた。
「私がそう願っているの、仙道さんと付き合ったままで楓とは元の様に戻りたいって。」
「楓はそんな私のわがままを叶えてくれようとしてくれてるの。」

「そっか‥。」
2人の事だからそれ以上は言えない。
駅とは反対側の仁美と別れて、水戸は流川の事を考えた。

自分の感情を殺して、ただひたすら好きな子の為に行動が出来るものなのだろうか。
仙道がどんなやつか分からないが、流川がどんなに仁美を大切にしているかは分かる。
あの流川の想いを一身に受けても仙道がよいのか。

中々重ならない2人の想いに水戸はため息をついた。
せめて流川のその想いが報われればと願う。

土曜日は早く起きてしまい、朝から家の事をやってずっと勉強が出来た。
仙道は部活があるのか連絡が来る事はなかった。
もちろん流川からも。
雑念が入らない分勉強は進んだ。