あの日からまた流川を迎えに行き起こす毎日が始まる。
「楓起きて！」
結局流川は仁美が部屋まで起こしにこなければ、自分から起きる気配は全くない。

目がなかなか開かない流川だが、何とか体は起こすので、それを確認すると仁美はいつも通り一旦部屋を出る。
今まで二度寝をした事はない。
リビングの上が流川で部屋で、リビングで待っていれば物音で流川が起きているのが確認出来る。

流川が下に降りてくると、いつも通り朝ごはんを食べさせて一緒に家を出る。
距離を置いていた時期ぐ嘘の様に、いつも通りの日常を取り戻していた。

あの日、流川と仲直りした後、仁美は水戸の教室まで行った。
水戸には迷惑をかけたので、謝りに来たのだ。
仁美に謝られた水戸は苦笑いだった。
「まぁ、良かったな。」
それでも泣いている仁美を見るよりは良かったと水戸は思う。

「よー、1年。」
最近では三井からもこう呼ばれる様になってしまった。
「3年の階で何してんだ？目立ってんぞ。」
「生徒会長に今日の資料を渡しに来たんです。」
そう言うと三井は生徒会何てやってんのかと、異次元の動物を見るような目で仁美を見る。

三井の後ろには堀田も居てしばらく話をして別れた。
最初は怖い先輩グループだと思っていたけど、今は気さくな感じで気にならなくなった。