そんな2人を見て水戸は大きくため息を吐く。
「後は2人でどうぞ。」
そう言うと水戸は屋上を後にする。

ドアが閉まっても、2人はしばらく見届けていた。
流川もため息をつき、その場に座る。
同じ様に仁美は流川に向き合う様に座った。
「‥仁美が仙道とどうなったからって、今さら変わる気持ちでもない。」
「どう頑張っても自分が納得出来なきゃ、何も変わらない。」

流川の言葉を仁美は黙って聞く。
「俺は自分の為に仙道を倒して全国に行く。」
「俺は結局バスケが1番で他の事には気持ちが鈍い、仙道に負けたくないのはバスケが1番だ。」

そうだろう、実際いざ対決したら目の前の仙道しか見えなくなるだろう。
流川の原動力はいつだってバスケだ。
そんな毎日の中で、唯一バスケ以外で誰にも渡したくないのはだだ1人仁美だ。

「色々考えたけど、ずっと気持ちは変わらなかった。仙道を倒して全国に仁美を連れて行くのは俺だ。」
「‥私は‥」
言いかけた仁美の口を流川は右手で押さえる。
「黙ってそん時は付いてこい。」

悩んでも、拒んでも何も結局流川を忘れる事なんて仁美にはー2人には出来ないのだから。
流川は仁美の口から手を離し、髪の毛を触る。
サラサラしていて、いつまでも触っていられる様な気持ちのいい感触だ。